
「通貨危機も無事に乗り越えたのに、工場が閉鎖ということがまだ実感できません」
一時期、熱気に満ちていた慶尚北道浦項市(キョンサンブクド・ポハンシ)の「ポスコ第1線材工場」は、冷めたまま寂寞感のみ漂っていた。40年以上ここで働いていたというA氏(60)は最近、東亜(トンア)日報の記者とのインタビューで、最後の出荷製品がかかっていた場所を直接見せてくれた。年末に引退を控えていたA氏は、2トンの線材コイルでいっぱいだったがらんとした空間をしばらく眺めた。
タイヤコード(補強材)などに必要な線材コイルを、年間70万トン生産していた同工場は、昨年11月、コイル生産を最後に閉鎖した。1968年のポスコ創立以来、経営難などで工場が閉鎖されたのは今回が3回目となる。
冷めていくのは、「鉄の都市」浦項だけではない。韓国国内製造業の3大根幹産業に分類されるバッテリーや石油化学、鉄鋼業種いずれも、絶体絶命の危機に直面している。これらの業種は、前方産業と相互依存性が非常に高く、「産業の根っこ」と呼ばれている。昨年まで続いた金利高と景気低迷、中国発低価格の攻勢などで、過去最大級の不況に見舞われている3業種は、今年、米国発関税爆弾にまで見舞われ、グロッキー状態に追い込まれている。
23日、東亜(トンア)日報が有価証券市場に上場された資産基準上位100位メーカーの2024年の事業報告書を分析した結果、昨年の3業種の平均営業利益は約2500億ウォンで、前年(7197億ウォン)比66%激減した。業種別では、バッテリー(5ヶ所)が97.5%、石油化学(14ヶ所)が64.5%、鉄鋼(6ヶ所)が46.4%減り、営業利益減少率「トップ3」となった。同期間、上位100位製造業の平均営業利益が79.1%急増したこととは、克明な対照を成している。
企業の収益創出力を示す自己資本収益率(ROE)も、悪化の一途をたどっている。やはり石油化学(マイナス8.5ポイント)、バッテリー(マイナス6.2ポイント)、鉄鋼(マイナス4.9ポイント)の下落幅が目立っている。資本集約的産業においてROEが長期間減少するということは、追加の投資誘致の困難と収益性悪化の悪循環に陥ったことを意味する。
高麗(コリョ)大学経営学科のシン・ホジョン教授は、「世界各国が、それぞれ製造業を活性化させるために支援を増やし、不公正ゲームを展開している中、貿易依存度が75%を越えている韓国は、企業のみ奮闘している」とし、「韓国も、政界で企業再生のために声を一つにしなければならない」と話した。
金在亨 monami@donga.com