
「いくら孫でも、私の娘に苦労を掛けたら憎らしい」
ネットフリックスドラマ「おつかれさま」で、中年のエスン(ムン・ソリ)が娘のクムミョン(IU)の娘に投げかけるこの言葉は、単なる文句ではない。争ったりもして癪に障ることもあるが、誰よりも大事に育てた娘への深い愛がにじみ出ている。
俳優のムン・ソリ(51)は2日、ソウル中区(チュング)のホテルで会い、この台詞を「最も心に残る言葉」に選んだ。
「うちの母も、娘に同じようなことを言いました。孫娘を愛しながらも『あなたのお母さんをあまり苦しめるな。うちの娘が大変だと私もつらいから』と」
ムン氏は、映画「オアシス」(2002年)や「浮気な家族」(2003年)などで強烈な人物を演じてきた。一方、エスンはチヂミを焼き、のり巻きを作って、子供の世話をすることに心を痛める「普通の母親」だ。だが、ムン氏は、むしろエスンが「難しいキャラクター」だったと語る。
「外見は平凡な人物です。しかし、その中に多くの時間があり、感情があり、愛があります。それを無理に表に出さずに伝えるのは簡単ではありませんでした。ただの『お母さん』に見えないように気をつけました」
現場で、ムン氏はよく自分の家族を思い出したという。特に、劇中のクムミョンが母親にぶっきらぼうなシーンでは、自分の人生と相まって心が重くなったりもしたという。
「憎いというより申し訳ない気持ちでした。うちの娘がそんな状況だったら、どんなに悔しかっただろうと思いました。それでいつもクムミョンがかわいそうでした」
ムン氏が見たエスンはどんな人だろうか。ムン氏はしばらく考えを選んでから答えた。
「エスンが夫を見送った後、こう言います。『これほどの福は降りてこない』、『たくさんの日が春だった』 まるで花畑で生きてきた人のように。誰でも人生には大変な日があるじゃないですか。ところが、その人生を結局春の日として記憶し、そう言える人…。本当にすごいじゃないですか?」
イ・ホジェ記者 hoho@donga.com