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インフレに勝てる政権はない 物価安定政策を最優先にしなければ

インフレに勝てる政権はない 物価安定政策を最優先にしなければ

Posted February. 21, 2025 09:42,   

Updated February. 21, 2025 09:42

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物価の高騰が続くと、最近、主婦の間で、閉店間際の値引きの時間に合わせて買い物をする人が増えた。遅い時間に買い物をするため、家族の了解を得て、夕食の時間を午後8時頃にすることもある。昼食の外食費が1万ウォンを超えると、飲食店より安いコンビニやスーパーの弁当を求めたり、弁当を持参するサラリーマンも多くなった。昨年から続く物価高騰で実質所得が減少し、厳しい家計事情が反映された風景だ。

生鮮・加工食品から生活用品まで軒並み値上がりした状況で、人々は買い物の回数を減らし、安いものに集中している。産業通商資源部が発表した昨年の大手スーパーマーケットの月間購入件数・単価は、ほとんどが前年比で減少した。昨年の小売販売額指数は前年比2.2%減少し、2003年の「カード大乱」(-3.2%)以来21年ぶりに最も大幅に減少するなど、内需は冷え込んでいる。

問題は、今年の物価が昨年より上昇する可能性が高いということだ。短期間で原油価格、ウォン安を脱却するようなカードが見当たらないうえ、内外の不確実性などの追加的な悪材料も依然としてあるためだ。対外的には、米国のトランプ発の高関税政策が物価を引き上げる「トランプレーション(トランプ+インフレ)」の影響による不確実性も大きい。

高物価で国民生活への負担は大きくなっているが、政府の対策もない状態だ。韓国銀行の李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁は18日、国会で「物価上昇率は韓銀が金利を通じて調整することができるが、基本的に物価水準が高いのは金利政策に加え、構造を変える、例えば、輸入拡大など様々な構造改革なしに短期間で解決することは非常に難しい」と述べた。

これに先立ち、宋美玲(ソン・ミリョン)農林畜産食品部長官が11日に食品業界代表らと会い、物価安定に協力してほしいと要請したが、弾劾政局の中で政府の圧力がどれだけ作用するかは分からない。出席した企業の代表たちは、値上げ幅を最小限に抑え、値上げ時期をできるだけ遅らせるとしたが、すでに相当数の企業が今年に入って値上げに踏み切っている。

「インフレに勝てる政権はない」という言葉があるほど、物価の高騰は国民生活に及ぼす波及力が大きい。米経済紙ウォール・ストリート・ジャーナルは最近、「トランプ氏が当選したのは、バイデン政権下でのインフレに対する有権者の反発からだ」とし、「インフレの復活はトランプ氏にとって最も大きな脅威になる可能性がある」と指摘した。米国では、物価がさらに上昇することに備えてトイレットペーパーや非常食などを買い占める「破滅消費」行為も登場した。米国と同様に体感物価が急速に上昇している韓国も、このような消費心理が他人事とは思えない。

高物価で実質所得が減少すれば、消費が抑制され、生産と投資の減少につながる悪循環に陥る恐れがある。これまで以上に物価を安定的に管理しなければならないが、コントロールタワー不在の中、高騰した物価はなかなか下がる気配が見えない。高物価時代に最も苦しむのは、一部の富裕層を除いた大多数の国民だ。与野党と政府は、生活苦を誘発する物価上昇への国民の怒りが想像以上に大きいことを知らなければならない。