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韓国経済、韓国製品ほど頑丈か

Posted February. 10, 2025 09:02,   

Updated February. 10, 2025 09:02

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先日、フランス・パリのタクシー運転手から長い間忘れていた名前を聞いた。彼は記者が韓国人であることを知って嬉しそうに「以前、『大宇(デウ)コンピュータ』を買ってとても重宝した」と話し始めた。サムスンでもLGでもなく、26年前に倒産した「大宇」についてフランス人が話すのが不思議だった。コンピューターにまつわる思い出を延々と語っていた彼は、大宇グループがあまりにも簡単に潰れたと言い、「会社は製品ほど丈夫ではなかった」と締めくくった。大宇グループの栄枯盛衰まで把握していた「道路の上の経済学者」の言葉が忘れられない。製品ほど頑丈でない韓国企業のニュースが多いためだ。また、「国家が韓国製品ほど頑丈ではない」という声まで聞こえてきそうな危機感が感じられるためだ。

韓国経済が今年と来年ともに1%台の成長が予想され、低成長に陥るのではないかという懸念が高まっている。漠然とした低成長の将来を予見できるのが欧州だ。ユーロ圏(ユーロ使用20ヵ国)は2011年以降、昨年まで4回程度を除いて成長率がずっと1%台以下にとどまった。韓国にとっては「低成長の先輩」国家だ。

欧州の株式市場は、個人投資家を泣かせる韓国株式市場の予告編となる可能性がある。外国人投資家だけでなく、欧州の企業でさえ欧州株式市場に背を向けている。今月5日(現地時間)、フランスで時価総額「トップ5」に入るエネルギー大手のトタルエナジーズが、米ニューヨークで上場を発表した。フランス株式市場の上場を廃止したり、本国の本社を移転したりするのではないと驚いた世論をなだめたが、遠い将来どうなるか分からない。すでにドイツの化学メーカー大手のリンデは、フランクフルト証券取引所を去った。

トタルエナジーズの事例には、欧州の低成長の原因が凝縮されている。トタルエナジーズがニューヨークに目を向けるのは、基本的に欧州株式市場に活力がないためだ。複雑な上場手続きや金融商品規制が金融市場の成長を妨げるという指摘が多い。さらに政府の過度な環境規制も一役買っている可能性がある。

欧州の消費者があまり財布の紐を緩めないことも問題だ。昨年第2四半期(4~6月)の欧州の貯蓄率は15.7%だった。新型コロナウイルス感染拡大の前の安定期には約12%だった。貯蓄率の上昇は、消費者の不安が大きくなったというシグナルといえる。将来に対して確信が持てないため、支出と投資を先延ばしにして銀行に金を貯め込むことになる。

欧州連合(EU)加盟国の平均経済成長率は今年も1.5%にとどまると予想される。欧州はまさに低成長の沼から抜け出せないムードだ。特段の対策が必要だと痛感したEUは、欧州中央銀行(ECB)前総裁のマリオ・ドラギ氏に対策づくりを任せた。「マリオ・ドラギ報告書」が出した具体的な解決策を他人の答案を覗くような気持ちで見てみた。内容は意外にもあまりにも明白だった。産業政策の強化、規制緩和、資本市場の強化、技術革新の支援などだ。韓国でも飽きるほど見聞きした対策だ。

対策面を見ると、いずれも息長く着実に力を入れなければならないことだ。韓国の政府も企業も、このような当たり前の対策をきちんと実行できないのは、短期的な成果に汲々とする風土のためだろう。

戒厳と弾劾政局で混乱している昨今、やや空しく聞こえるかもしれないが、私たちにはこのような百年の計を実行する力が切実だ。慌ただしい時局の中で見落としがちな部分でもある。当たり前のことだが実行は難しいこれらの政策を急がないと、韓国経済史に大宇グループのような忘れられた名前がさらに増えるかもしれない。