数字で作られたトランプのビジネス的世界観
Posted January. 27, 2025 08:38,
Updated January. 27, 2025 08:38
数字で作られたトランプのビジネス的世界観.
January. 27, 2025 08:38.
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「私は10ドルをくれと言っているのではありません。しかも5ドルでもありません。2ドルだけください」昨年8月から11月までの約3ヵ月間、ほぼ毎日、ある日は1日に2回、このような内容のメールが届いた。発信者の名前はドナルド・トランプ。大統領選挙取材のためにトランプ陣営に連絡先を登録したら起きた出来事だった。要請金額は毎日違っていた。12ドル、9ドル、14ドル…。ある日は、「あなたが私に5ドルを払わなければならない5つの理由」のような、論理的メッセージが届いた。寄付が日常の米国とはいえ、大統領になろうとしている人が毎日「お金をくれ」という執拗なメールを送るのは「カルチャーショック」だった。カマラ・ハリス氏のキャンプからはなかったメールだった。トランプ氏にとっては就任式も「ビジネス」だった。米大統領の就任式は、公式行事のみ政府資金で行い、付属行事ともいえる舞踏会などは、当選者がホストを務める就任委員会が寄付金を確保して準備する。今回の就任式で、トランプ大統領は100万ドルの寄付者に自分との晩餐への出席権など、様々な「特典」を提示し、過去最高金額である1億7000万ドルを集めた。バイデン大統領とバラク・オバマ大統領の就任寄付金を合わせた金額より多い。お金に対するトランプ氏の熱望は、ここで止まらなかった。トランプ氏は最近、自分と妻の名を冠した仮想通貨である、いわゆる「トランプコイン」と「メラニアコイン」を発行した。仮想通貨業界でさえ、「これは違う」という言葉が出るほど、利害衝突の議論が熱いが、とにかくトランプ氏は、文字通り一日で数百億ドルの市場を持つことになり、初日の取引手数料だけで5800万ドルを稼いだという報道があった。「TikTok禁止法」により、米国でのビジネスをあきらめなければならない運命に置かれた中国系プラットフォームTikTokに対しても「ディール」を試みた。「持分の半分を米国に渡せば、事業を許可する」と言ったのだ。トランプ氏を説明する時、「取引中心的(transactional)」という言葉が抜けない理由だ。トランプ氏は大金を持っているが、小金を稼ぐことも疎かにしなかった。帽子やカレンダー、さらには聖書まで売っている。「神よ、米国を祝福してください」というタイトルの聖書は59.99ドルだが、サイン入りの限定版は1000ドルだ。「できることは全部やって、稼げることは全部稼ごう」という意志が感じられる振る舞いだ。世界中を数字で見る「ビジネス的世界観」を持つトランプ氏の特徴は、外交と通商政策にもそのまま現れている。就任前からパナマに対し、「昔、私たちが作ったパナマ運河で米国の船からお金を奪うなら、再びパナマ運河を返せ」と要求している。カナダに対しては、「米国の51番目の州になれば関税がない」と言い、グリーンランドに対しては「お金をあげるから、グリーンランドを売りなさい」と言った。すべての決定に「お金」が中心の彼にとって、品位や体面、礼儀、尊重などは「0ウォン」の価値かもしれない。そんなトランプ氏は、韓国に対しどのような取引を要求するのだろうか。トランプ氏は就任当日、政府に対して「4月1日までに米国の貿易赤字の原因を調査し、既存の貿易協定を再検討せよ」と指示した。韓国も対米貿易で黒字を出しているだけに、春になればどんな形であれ「請求書」が送られてくる可能性が高い。たとえ韓国政治は目も当てられないほどめちゃくちゃでも、外交と通商分野だけは、「数字」が決まる前にすべての力量を総動員して事前に情報を確保し、先制的に対応してほしい。残った時間は60日。決まってからは遅い。ひたすら「ギブアンドテイク」のマインドで世界で最も強力なビジネス外交を行うトランプ氏を相手するには、韓国もやはり徹底したビジネスマインドで、私たちが「ギブした」ことと「ギブする」ことを前面に出して、緻密に交渉に臨まなければならないだろう
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「私は10ドルをくれと言っているのではありません。しかも5ドルでもありません。2ドルだけください」
昨年8月から11月までの約3ヵ月間、ほぼ毎日、ある日は1日に2回、このような内容のメールが届いた。発信者の名前はドナルド・トランプ。大統領選挙取材のためにトランプ陣営に連絡先を登録したら起きた出来事だった。要請金額は毎日違っていた。12ドル、9ドル、14ドル…。ある日は、「あなたが私に5ドルを払わなければならない5つの理由」のような、論理的メッセージが届いた。寄付が日常の米国とはいえ、大統領になろうとしている人が毎日「お金をくれ」という執拗なメールを送るのは「カルチャーショック」だった。カマラ・ハリス氏のキャンプからはなかったメールだった。
トランプ氏にとっては就任式も「ビジネス」だった。米大統領の就任式は、公式行事のみ政府資金で行い、付属行事ともいえる舞踏会などは、当選者がホストを務める就任委員会が寄付金を確保して準備する。今回の就任式で、トランプ大統領は100万ドルの寄付者に自分との晩餐への出席権など、様々な「特典」を提示し、過去最高金額である1億7000万ドルを集めた。バイデン大統領とバラク・オバマ大統領の就任寄付金を合わせた金額より多い。
お金に対するトランプ氏の熱望は、ここで止まらなかった。トランプ氏は最近、自分と妻の名を冠した仮想通貨である、いわゆる「トランプコイン」と「メラニアコイン」を発行した。仮想通貨業界でさえ、「これは違う」という言葉が出るほど、利害衝突の議論が熱いが、とにかくトランプ氏は、文字通り一日で数百億ドルの市場を持つことになり、初日の取引手数料だけで5800万ドルを稼いだという報道があった。
「TikTok禁止法」により、米国でのビジネスをあきらめなければならない運命に置かれた中国系プラットフォームTikTokに対しても「ディール」を試みた。「持分の半分を米国に渡せば、事業を許可する」と言ったのだ。トランプ氏を説明する時、「取引中心的(transactional)」という言葉が抜けない理由だ。
トランプ氏は大金を持っているが、小金を稼ぐことも疎かにしなかった。帽子やカレンダー、さらには聖書まで売っている。「神よ、米国を祝福してください」というタイトルの聖書は59.99ドルだが、サイン入りの限定版は1000ドルだ。「できることは全部やって、稼げることは全部稼ごう」という意志が感じられる振る舞いだ。
世界中を数字で見る「ビジネス的世界観」を持つトランプ氏の特徴は、外交と通商政策にもそのまま現れている。就任前からパナマに対し、「昔、私たちが作ったパナマ運河で米国の船からお金を奪うなら、再びパナマ運河を返せ」と要求している。カナダに対しては、「米国の51番目の州になれば関税がない」と言い、グリーンランドに対しては「お金をあげるから、グリーンランドを売りなさい」と言った。すべての決定に「お金」が中心の彼にとって、品位や体面、礼儀、尊重などは「0ウォン」の価値かもしれない。
そんなトランプ氏は、韓国に対しどのような取引を要求するのだろうか。トランプ氏は就任当日、政府に対して「4月1日までに米国の貿易赤字の原因を調査し、既存の貿易協定を再検討せよ」と指示した。韓国も対米貿易で黒字を出しているだけに、春になればどんな形であれ「請求書」が送られてくる可能性が高い。
たとえ韓国政治は目も当てられないほどめちゃくちゃでも、外交と通商分野だけは、「数字」が決まる前にすべての力量を総動員して事前に情報を確保し、先制的に対応してほしい。残った時間は60日。決まってからは遅い。ひたすら「ギブアンドテイク」のマインドで世界で最も強力なビジネス外交を行うトランプ氏を相手するには、韓国もやはり徹底したビジネスマインドで、私たちが「ギブした」ことと「ギブする」ことを前面に出して、緻密に交渉に臨まなければならないだろう
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