準連動型比例代表制が初めて導入された2020年の第21回総選挙の局面で、政界関係者らがかなり興味深く見ていた点がある。野外集会で強硬保守勢力から熱烈な支持を受けた自由統一党の院内進出の可否をめぐってだ。自由統一党は、総選挙前に光化門(クァンファムン)集会への参加に消極的だった自由韓国党(第21代総選挙の未来統合党を経て現在の「国民の力」)に代わって、強硬保守勢力にアピールした。比例政党投票で得票率3%さえ超えれば1議席を獲得できる状況で、強硬保守勢力が未来統合党から離れるかが保守陣営の関心事だった。
しかし、投票箱を開けた結果、自由統一党の比例政党であるキリスト教自由統一党は、比例政党投票で1.83%の得票率を得るにとどまった。当時、未来統合党の関係者はこのような結果を見て「強硬保守層も戦略的投票を優先する」と分析した。「太極旗部隊」と呼ばれた強硬保守勢力も力を合わせて文在寅(ムン・ジェイン)政権に対抗するのが当時の最大の課題だと考え、未来統合党から離れなかったということだ。
保守勢力の戦略的投票傾向を確認した未来統合党は、その後、金鍾仁(キム・ジョンイン)非常対策委員長体制の下で「国民の力」に党名を変え、外延拡大に死力を尽くした。金氏は中道・実用路線を反映した政綱政策を採択し、光州(クァンジュ)国立5・18民主墓地を訪れ、ひざまずいた。当時も「名分なき左傾」「民主党の人間が党を台無しにする」という党内の不満がなかったわけではないが、揺るぎない中道層への求愛で、2021年の4・7補欠選挙でソウル市長と釜山(プサン)市長の座を奪還した。
続く李俊錫(イ・ジュンソク)指導部も、このような「国民の力」の中道外延拡大基調を継承した。保守政党の代表としては異例にも業務開始日に光州を訪れ、西進政策にさらに力を入れた。党員倍増運動を通じて、「国民の力」に背を向けていた青年層を党に流入させた。着実な外延拡大は、党に2022年大統領選挙と地方選挙の勝利をもたらした。
しかし、「国民の力」が今や勝利の経験を忘れたのか、中道層には関心がないような動きを見せている。特に、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の非常戒厳とそれによる弾劾局面という、これまで以上に刷新が求められる時に、再び強硬保守層だけを見ている。40人以上の与党議員は、漢南洞(ハンナムドン)の「護衛武士」を自称した。彼らは、「法システムの破壊を阻止するため」という大義名分を掲げた。しかし、中道層の目には、職務停止中でも「反国家勢力と最後まで戦おう」と激励した尹大統領のメッセージと重なるだけだ。党内では暗黙にタブー視されていた野外集会に顔を出す議員も今や珍しくなくなった。
政界では早期の大統領選挙が現実になる可能性が高いと見ている。昨今の政治状況を見ると、早期大統領選挙は陣営間の激しい競争になるというのが衆論だ。どちらが中道層をより多く取り込むかが大統領選の結果を左右するということだ。
早期に大統領選挙が行われれば、「国民の力」は中道層の取り込みにおいて、傾いた運動場で競技を開始しなければならない。強硬保守に没頭すればするほど、中道層の離脱はコインの両面のようについてくる。「国民の力」は、強硬保守の「ありがたい」戦略的投票を何度も経験した。「国民の力」が街頭に出た「ありがたい」強硬保守派に報いるのは、彼らに聞こえの良いことを言うことではなく、しばらく距離を置くことだ。
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