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ドイツ連邦軍の強敵は「低出生率」

Posted March. 13, 2024 08:42,   

Updated March. 13, 2024 08:42

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先週、フランス・パリの各所に見慣れないポスターが貼られた。「マクロン、私たちはウクライナのために死なない」と書かれていた。フランスのマクロン大統領が先月26日、ウクライナへの派兵の可能性を示唆したことを受け、これに反発した市民が掲げたフレーズだ。一部はフランス軍の派兵に反対する集会も組織した。激しい反発に驚いたマクロン氏は、「すぐに派兵する計画はない」と火消しに乗り出したが、市民の怒りは収まらない。

このように欧州では最近、戦争に対する不安感と危機感が強い。隣国のドイツはさらにそうだ。2022年2月にウクライナに侵攻したロシアが西側に対する核の脅威を強めているにもかかわらず、軍隊が急激に縮小されたためだ。最近、ドイツ陸軍の最大駐留地であるニーダーザクセン州ミュンスターを訪れた際、現地で出会った市民は「軍隊が小さくなったのに、戦争が起きたらどう対応するのか心配だ」と話した。

今年11月の米大統領選挙で再選を目指すトランプ前大統領は、このような危機感をさらに強めている。トランプ氏は、欧州防衛の核心である北大西洋条約機構(NATO)を崩壊させると警告している。再選すれば、ウクライナに一銭も支援しないという考えも示唆した。ウクライナが崩壊すれば、ロシアの侵攻の脅威が他の欧州諸国に波及する可能性も排除できない。

足元に火がついたドイツは、慌てて軍備増強に乗り出した。ロシアのウクライナ侵攻直後から国防力の「ツァイテンヴェンデ」(時代の転換点)を宣言し、防衛特別補強費1千億ユーロ(約144兆ウォン)を策定した。国防予算も2倍水準に増額することを決めた。

このような努力にもかかわらず、ドイツ国防省は23年基準で連邦軍が約1500人減少したと発表した。2度の世界大戦を起こした戦犯国というレッテルのため、長い間軍備増強を控えてきたためだ。さらに、平和な時期を経て兵力需要が減り、11年に徴兵制を廃止し、募兵性に切り替えた影響も大きい。

何よりも逆らえない不可抗力は、少子化による人口減少だ。兵士を増やそうと軍備を大幅に拡充し、徴兵制を復活させても、急減する人口の前では打つ手がない。21年基準、ドイツの合計特殊出生率(1人の女性が一生の間に産む平均の子どもの数)は1.58人。この危機を打開するため、ドイツは徴兵制の復活だけでなく、外国人の入隊を認めることも検討している。

同年、ドイツの合計特殊出生率の半分レベル(0.81人)である韓国の状況はさらに危険だ。20歳男性人口の減少に伴い、新規兵力規模が22年27万人から40年16万人に減少すると予測されている。多くの人が忘れているが、韓国も依然として休戦国だ。

過去には、たとえ自国軍が不足しても有事の際には同盟国の助けを期待することができた。しかし、このような期待がナイーブな考えとみなされる時代が到来した。トランプ氏が再選すれば、政権1期の時と同様、在韓米軍撤退カードを出す可能性も排除できない。自国の安全は自分で守れと防衛費の大幅増額を要求する可能性も高い。

ウクライナと中東で起きた「2つの戦争」で西側主要国の兵器と財源はすでに枯渇している。「今や自国の安全を守ることで精一杯」という認識が各地で広まっている。それゆえ、出生率「最下位国」の韓国は、「韓国軍の最大の敵は低出生率」という海外メディアの警告を重く受け止め、急いで対策を立てなければならない。