少子化時代を迎え晩婚化が進み、女性はもちろん、男性の妊娠能力への注目が高まっている。医療専門家らによると、男性の可妊能力において、精子がどれほど活発に運動するかは重要な要素となっている。運動性が低いと、精子が活発に活動できず、妊娠確率が下がるからだ。逆に、運動性の高い精子が多いほど、精子の卵子到達率が高くなり、妊娠確率が上がる。
オーストラリアのモナシュ大学電気・コンピュータシステム工学科の教授の研究チームは、超音波で精子の動きと遊泳速度を高めることに成功し、研究結果を国際学術誌「サイエンスアドバンシス」に15日発表した。運動性が激減した精子に超音波技術を適用し、精子の動きを最大266%まで向上させることができるという研究結果で、男性不妊患者のための補助治療として活用できるものと期待される。
精子の運動性が低く、妊娠能力が落ちた男性の妊娠能力を高める簡単な戦略としては、禁煙や適正体質量指数の維持、運動などが挙げられる。積極的な治療法としては、薬物やホルモン治療法が活用される。代表的な薬物は、「ペントキシピリン」だ。精子の質と運動性を増加させる効果があるが、精子のDNAに損傷を与えるなど潜在的な副作用も報告されている。男性ホルモン療法は、長期間使用すれば、むしろ精子の生成を抑制したり、無精子症を誘発することがあるため、注意が必要だ。より安全な治療法への要求が大きくなる理由だ。
研究チームは、20~40歳の健康な男性3人から精子の寄贈を受け、研究に活用した。研究参加者は、1ミリリットル当たり2000万~4000万個の精子を保有していた。これは正常な数値で、1ミリリットル当たり1500万個未満の場合、不妊と評価する。
研究チームは、個別精子の運動性を細胞レベルで評価するため、「液滴(水滴)基盤のマイクロ流体技術」を活用した。液滴基盤のマイクロ流体技術とは、互いに混ざらない二つの流体を利用して、マイクロ流体を互いに分離させる技術で、生体内の反応をマイクロ規模で、短い時間に速いスピードで研究できる方法だ。ドナーから得た精子のうち、運動性がなかったり、運動性が落ちた精子細胞に高周波超音波を適用後、液滴基盤のマイクロ流体技術で運動性の変化を評価した。
その結果、超音波への露出が精子の動きを誘導し、精子の遊泳速度を向上させることを発見した。精子の運動性は、最大266%まで向上した。運動性のない精子の34%は、運動性ができた。
一般的に、男性の年齢が45歳を超えると、精子の運動性が大きく減少する。江南チャ病院の男性医学研究チームが昨年、大韓泌尿医学会の学術誌に発表した研究によると、中年男性は若い男性に比べて精子の運動性が11%ポイント低い。夫婦が子供の計画をするなら、女性だけでなく男性の年齢も重要だという意味だ。研究チームは、「男性の生殖力保存のためのより安全な治療法も必要な状況で、超音波技術を提案した」とし、「今回の研究結果で、超音波が男性の不妊補助治療で有望だという事実を確認した」と明らかにした。
ムン・セヨン東亜サイエンス記者 moon09@donga.com