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自ら「経済司令塔」と答えなかった経済副首相候補

自ら「経済司令塔」と答えなかった経済副首相候補

Posted December. 25, 2023 08:19,   

Updated December. 25, 2023 08:19

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「この政府の経済コントロールタワーは誰ですか」

いつものように「経済副首相」を思い浮かべた。19日に開かれた崔相穆(チェ・サンモク)副首相兼企画財政部長官候補の人事聴聞会で、与党「国民の力」の朱豪英(チュ・ホヨン)議員の質問だった。朱氏は、「経済副首相がやるのか、経済首席がやるのか、政策室長がやるのか」と聞いた。経済首席に加え、大統領室に長官級である政策室長まで新設され、副首相がコントロールタワーになれず押されることが懸念されるということだった。 

「経済副首相」という答えは出なかった。崔氏は、「まだ就任していないので、そのような話をするのは早い」と述べた。その代わりに「人」が重要だと付け加えた。崔氏は、「内閣では私が内閣でやるべきこと、大統領室では政策室長がやるべきことをしてうまく調整していきたい」と述べた。野党議員たちが以前にした「崔順実(チェ・スンシル)国政壟断」事件関連の質問よりは答えやすいように見えたが、崔氏の回答は慎重だった。大統領の経済参謀を公式に司令塔というのは見たことがない。

崔氏に任された役割は明らかに経済司令塔だ。大統領が提出した崔氏の人事聴聞会要請案には、「グローバル複合危機が続く中、安定的な経済運営のための経済司令塔の役割がこれまで以上に重要な状況で、対象者は韓国がグローバル中枢国家に跳躍するために貢献する能力と資質を十分に備えた適任者と判断される」と書かれてある。

崔氏の謙虚さを示す逸話で終わらせるには後味がすっきりしないのは、最近、経済政策が最終決定される過程を見たからだ。当初、政府は国内の株取引で得た利益に税金を課す基準を銘柄当たり50億ウォンに引き上げることに否定的だった。大統領室発で基準緩和の報道が続いたが、秋慶鎬(チュ・ギョンホ)副首相兼経済部長官は12日、「具体的に検討していない」と線を引いた。しかし、わずか9日後に株譲渡所得税の大株主基準は緩和された。

大統領室が推し進めたという。大統領室のMZ世代の行政官らが、株譲渡税の廃止が尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の公約であり、市場の不確実性で個人投資家が被害を受けていると、高位関係者に強く提案したという。これを受け、大統領室が検討を経てドライブをかけたということだ。その言葉通りなら、経済原則は後回しにして、政治的な判断で株式市場の活性化に乗り出したことになる。これまで一銘柄の保有額が10億ウォンを超えると「大株主」に分類され、税金が課せられた。このため、大口個人投資家が税金を払わないようにするため、年末に株を大量に売却し、株価が下落するということが繰り返されてきた。

崔氏は、1ヵ月前まで大統領室経済首席だった。「天才官僚」という評価まで受けた。大統領室と政府の力学関係を誰よりもよく知っているだろう。彼が、経済司令塔を自任できなかったのは、だからこそより懸念される。経済政策を統率して調整するのではなく、「フォロワー(follower)」になるという姿勢と読める。皮肉なことに、崔氏は2016年には企画財政部次官として株式譲渡税の大株主基準を25億ウォン(Kospi基準)から15億ウォンに引き下げた。経済司令塔なのかフォロワーなのかは、彼が就任後に見せる行動で確認できるだろう。