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ヒューミント崩壊で虚を突かれたイスラエル、対北朝鮮のヒューミントを点検し強化すべきだ

ヒューミント崩壊で虚を突かれたイスラエル、対北朝鮮のヒューミントを点検し強化すべきだ

Posted October. 17, 2023 08:25,   

Updated October. 17, 2023 08:25

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「最も大きく目を見開かなければならない時に目を閉じている。これでいいのか」

李明博(イ・ミョンバク)政権下の2010年、大統領府の参謀が職員を呼んで叱責した。当時は、北朝鮮の統治者である金正日(キム・ジョンイル)総書記の健康状態が不安定で、後継者の金正恩(キム・ジョンウン)氏が表舞台に出て活動の幅を広げていた時期だった。いつにも増して北朝鮮の情報能力を集中させなければならないその時、情報当局の北朝鮮核心層に関する動向報告は何度も外れた。大統領府参謀の叱責は、それを我慢できずに出た言葉だった。最近、私的な席で会ったこの参謀は、「李政権の前、金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権を経て、北朝鮮に対するヒューミント(HUMINT・人的諜報)能力が低下した」とし、「これが結局原因となって、最も必要な時にヒューミントを適切に活用できなかった」と振り返った。

尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権発足後、国家情報院長が交代した。国情院の人員も大幅に入れ替わった。このような国情院刷新の過程で、自然に文在寅(ムン・ジェイン)政府に対するレビューが続き、その過程でこのような言葉がよく出てきた。「北朝鮮に対する情報収集の能力が著しく低下した」。特に、北朝鮮に対するヒューミントの弱体化を懸念する声が多かったという。政府関係者は、「対北朝鮮能力の核心は情報収集だが、文政権の時は対北朝鮮支援に重きが置かれすぎた」とし、「これを正す作業は今も進行中だ」と強調した。

最近、イスラム組織ハマスの奇襲攻撃でイスラエルの国家安全保障が揺らぐ中、北朝鮮に対するヒューミントの問題が再び浮上している。世界最高の諜報機関と言われるイスラエルのモサドは、ハマスの今回の奇襲攻撃を事前に把握できず、虚を突かれた。この「情報惨事」の主な原因の一つとしてヒューミントの誤作動が浮上した。このため、イスラエルの事例を教訓とし、北朝鮮に対するヒューミントを強化しなければならないという声が政府内外から出ている。

情報当局者は「シギント(SIGINT・信号情報)やイミント(IMINT・映像情報)がいくら良くなっても、ヒューミントを看過することはできない」と強調した。技術の発展で写真の解像度が高くなり、ささやき声まで聞こえるほど感知能力が発達しても、人が直接確保した「生きた」情報の必要性はいつでもどこでも存在するということだ。同当局者は、「空軍と海軍の比重がいくら高くなっても、地上軍が戦場の核心であるのと同じ理屈だ」とも話した。

イスラエルの事態を目の当たりにした政府は、北朝鮮のミサイル発射場など主要拠点やイランなど北朝鮮の友好国などを中心に韓国のヒューミントを点検・強化する方針だ。情報当局が、北朝鮮に対するヒューミント強化の必要性を認識しているのは幸いだ。

これまで北朝鮮内の急変事態など核心情報がヒューミントを通じて確認された事例は指で数えるほどしかない。確固としたヒューミント網を構築するには、少なくとも5年以上の時間がかかる。政権が交代してもヒューミントの人員には手を加えないというのが米情報当局の不文律だという。政権が代わったからといって、北朝鮮との協力強化を理由に苦労して構築したヒューミントを揺るがすのは危険だ。せっかく築いた堤防を自ら崩してはならない。