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年金を払うは人は減り受給者は一気に増える…政府はこれ以上躊躇するな

年金を払うは人は減り受給者は一気に増える…政府はこれ以上躊躇するな

Posted September. 04, 2023 08:48,   

Updated September. 04, 2023 08:48

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保健福祉部傘下の国民年金財政計算委員会が、「もっと払って遅く受け取る」年金改革案を提示したことを受けて、曺圭鴻(チョ・ギュホン)福祉部長官が来月国会に提出する政府案は、「国民的受容性」に重点を置くと明らかにした。曺長官は一昨日、放送に出て、委員会の改革案に所得代替率(受け取る金)を引き上げる内容が漏れているという指摘に対し、「(これは)委員会が作った基礎資料だ」とし、「合理性よりさらに重要なのは、国民的受容性だ」と述べた。長期的財政が悪化しても、直ちに国民の同意を得るために所得代替率を引き上げることができるという意味と解釈される。

年金改革の主務長官の発言は、ようやく一歩踏み出した年金改革の議論を後退させるもので、政府の年金改革の意志を疑わせる。委員会は改革案で、「2093年までに基金が枯渇しないようにする」という財政目標を提示した。今年年金に加入した20歳の青年が、平均期待余命である90歳まで安定的に年金を受け取るようにするということだ。委員会は、18の改革シナリオを提示したが、この目標によると、保険料率(払うお金)を15%に引き上げ、68歳から受け取る案を含めた5つの案に絞られる。委員会が20回以上会議をしながら狭めておいた選択肢を、原点に戻すということか。

韓国の国民年金の所得代替率が、他の先進国より低いのは事実だ。それでも委員会が所得代替率の引き上げ案を排除した理由は、保険料率をいくら上げても未来世代の負担が過度に大きくなるためだ。所得代替率を現行の40%から45~50%に高めれば、2054年に基金は底をつき、「その年に集めてその年に与える」賦課式に変わり、2093年の保険料率は37%まで高騰することになる。月給300万ウォンのうち111万ウォンを、高齢者の保険料として控除されることになるという意味だ。年金改革は、基金枯渇を防ぎ、次世代の負担を減らすために行うものだ。国民の反対が怖いからといって、未来世代に保険料の爆弾を押し付けることは改革ではない。

前政権も、「国民の目線」云々して年金改革に失敗したため、基金枯渇の時期が2055年へと2年繰り上げられ、賦課式保険料も30%台に跳ね上がった。少子高齢化の影響で、2027年には保険料を払う人は86万人が減り、受け取る人は240人以上増え、年金支出が収入を追い越す見通しだ。経済協力開発機構加盟国の平均(18.3%)の半分にも満たない保険料率9%を25年間固守し、周りに気を配るほど、国民負担は増え、年金改革をめぐる世代間の対立は増幅するばかりだ。