金暎浩(キム・ヨンホ)統一部長官候補(写真)が30日、「強圧的な吸収統一は志向しない」考えを明らかにした。過去のメディア寄稿などでの「金正恩(キム・ジョンウン)政権打倒」、「体制破壊」といった対北朝鮮強硬発言に対する指摘が相次いだことを受け、国会人事聴聞会を前に距離を置いたとみられる。
金氏は同日午前、ソウル市鍾路区三清洞(チョンロク・サムチョンドン)の南北会談本部の会談場に設けられた人事聴聞会準備事務所に入る際、記者団に対し、「大韓民国は平和統一を志向することになっている。政府は平和的で漸進的な統一を志向する」と述べた。金氏は2019年、あるメディア寄稿で、「金正恩政権が打倒され、北朝鮮の自由化が進み、南北の政治体制が『一体制』になった時、初めて統一の道が開かれる」と主張した。金氏は同日、質疑応答で、「北朝鮮に何らかの変化が訪れた際の様々な統一のシナリオを学者として提示したもの」と説明した。
金氏は、対北朝鮮政策について、「今後、原則のある、非常に価値志向的な方向に推進しなければならない」とし、「統一部の役割に変化が必要だ」と強調した。そのうえで、北朝鮮の人権問題を対北朝鮮政策の主要議題にすべきだと述べた。また、「北朝鮮の核と人権問題、経済協力問題を三位一体で結びつけ、韓半島型ヘルシンキ宣言を前向きに検討しなければならない」と述べた。ヘルシンキ宣言は、1975年に米国やソ連、欧州各国など35ヵ国によってフィンランドのヘルシンキで採択された、国家主権の尊重、武力不行使、人権の尊重などの原則が盛り込まれた合意文書。冷戦時代、東西の対話の舞台となり、ソ連・東欧圏の崩壊につながった。
最大野党「共に民主党」は同日、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政府の初の内閣改造に対する全面的な見直しを求めた。李在明(イ・ジェミョン)代表は党最高委員会で、「極右発言、極右ユーチューバー、極右人事、極右政策、そして極右政権、極右大統領まで、国が実に心配だ」と述べ、金氏に対して「『極端な南北敵対論者』と評価される人物が、平和統一の基盤を築き、南北対話で先頭に立つべき統一部長官にふさわしい人物なのか問わざるを得ない」と批判した。国民権益委員長に任命された金洪一(キム・ホンイル)元釜山(プサン)高等検察庁長に対しては、「権力に迎合する『政治検事』を任命するのは不適切だ」とし、「大統領の役割は国民を統合し、国家のエネルギーを一つにまとめること」とし、「極右偏向、検察偏向の人事では、背を向けた民心を呼び戻すことはできない」と強調した。
申나리 journari@donga.com · 黃聖皓 hsh0330@donga.com