証券会社アナリストのA氏が特定企業の株を知人名義の借名口座で買い入れた後、この銘柄を買うよう投資家に勧めるレポートを作成して利益を得た疑いで最近検察に送致された。金融監督院は、A氏が昨年までの10年間、22銘柄を67回取り引きして5億2000万ウォンの差益を上げたものと把握した。その間、A氏は証券会社3社を転々とし、数年前には「ベストアナリスト」に選ばれた。猫に魚を預けたわけだ。
最近相次いで発生する株価操作事件は、韓国証券市場が世界10位圏の経済にふさわしい水準を備えていないことを物語っている。さらに、SG証券発の株価暴落事態を主導した未登録投資諮問会社の代表や今月中旬の5銘柄暴落事態の時のオンライン株式コミュニティ運営者とは異なり、A氏は証券市場の公式参加者であるアナリストだ。自ら作成したレポートを武器に株価を操作し、利益を得ることで投資家の保護や信義誠実の原則といった基本的な職業倫理を放棄した。
名だたる証券会社が出すレポートまで株価操作に利用される証券市場は、互いに騙し、騙される伏魔殿に他ならない。先進国に比べて寛大すぎる処罰がこのような状況を招いた。この3年間、未公開情報の利用、相場操作、詐欺的不正取引の3大不公正行為で裁判所で1審判決を受けた被告57人のうち執行猶予ではない実刑を言い渡されたのは25%の14人に過ぎない。2審被告69人のうち36人は1審より量刑が減り、1審に比べて重刑が言い渡されたのは3人に止まった。
金融当局と検察は最近、株価操作犯罪などが一度だけ摘発されても「財を名誉が滅びる」と公言している。しかし、株価操作犯の刑罰が確定する前に不当利益の最大2倍、50億ウォンまで課徴金を課すことができる資本市場法改正案は、国会法制司法委員会の敷居を越えられずにいる。不当利益の算定の難しさ、過剰立法の憂慮を理由に一部議員が反対したためだ。
株価操作に対する弱い処罰は、再犯の誘惑を増大させる。証券先物委員会が昨年まで4年間不公正取引で捜査機関に告発・通報した643人のうち23.2%の149人は過去に同じことを犯して摘発されたことがあるという。このような人々をきちんと処罰できないのでは、韓国株式市場は後進証券市場という汚名から逃れられない。
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