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1ヵ月間、仁川で356件ソウルで299件の伝貰詐欺

1ヵ月間、仁川で356件ソウルで299件の伝貰詐欺

Posted April. 19, 2023 08:35,   

Updated April. 19, 2023 08:35


「生活苦のため、退社後に配達代行のアルバイトも始めました」

「仁川市弥鄒忽区(インチョンシ・ミチュホルグ)の建築王」ナム某氏(61)から伝貰(チョンセ、賃貸保証金)詐欺にあった被害者のキム某さん(41)は、「破産申請まで悩んでいる」としたうえで、このように話した。2019年に結婚したキム氏は、新居として7300万ウォンのマンションの伝貰住宅を借りた。2年後、賃貸人の要求で伝貰金を8300万ウォンに引き上げた。伝貰保証金を用意するために、伝貰融資も6500万ウォン受けた。

ところが突然伝貰詐欺に遭い、マンションは昨年3月に競売にかけられ、同年12月に落札された。弱り目にたたり目で、キム氏は救済対象に含まれず、最小返済金も受け取れなかった。家を空けてほしいという落札者の要求にも立ち退きをせず耐えてきたが、結局政府が支援する臨時住居地に行くことにした。キム氏は、「臨時住居の支援を受けたが、6ヶ月後には去らなければならない」とし、「明け方まで副業をしてもお金は途方もなく足りない状況だが、今年末までにどのように新しく住む家を探さなければならないのかと思う」とため息をついた。

●弥鄒忽区の被害住民10人に3人は一銭も受け取れない

18日、東亜(トンア)日報が入手した弥鄒忽区の伝貰詐欺被害対策委員会の被害実態調査資料によると、対策委に加入した被害者439人のうち131人(29.8%)は、パク氏のように最優先返済さえ受けられないことが分かった。現行法上、保証金が最優先返済基準を100万ウォンでも超過すれば対象から除外される。10人中3人は被害を受けた伝貰保証金のうち、一銭も返してもらえないまま路頭に迷わなければならない。

伝貰詐欺の被害者たちは、マンションの外壁に「入札禁止」等、大きなプラカードをかけ、競売中断を要求している。被害者のキム・ユングンさん(51)は、2021年9月に保証金8500万ウォンで借りた家から、最小返済金ももらえずに出なければならない。彼は、「伝貰融資など銀行融資だけでも1億ウォンぐらいになるが、新居の保証金を手に入れる方法がない」とし、「9才の娘と暮らせるウォルセ(月々の家賃)の住宅でも借りようと、6月から中東の建設現場に出て仕事をする予定だ」と話した。

すでに伝貰住宅が競売で落札され、追い出される状況に置かれた被害者の悩みも大きい。会社員のカン某氏(37)は、「苦労して借りた伝貰住宅が今月初めに競売で落札され、家を空けることになった」という。カン氏は、「幼稚園に通う子供たちのためにも、この近くに残らなければならないが、どうやって借りるべきかと思う」と涙を流した。

●3人目の死亡被害者の遺族、「迷惑をかけたがらなかった娘」

18日午後、中区仁荷(チュング・インハ)大学病院の葬儀場に設けられた伝貰詐欺被害者のパク某氏の遺体安置処では、パク氏の父親が遺影写真を眺めながら号泣した。父親は、「娘は経済的に早く独立した」とし、「迷惑をかけるのを嫌がって、伝貰詐欺にあったことも知らなかった」と話した。

「建築王」に伝貰詐欺にあった後、死亡した状態で見つかったパク氏は、江原道旌善(カンウォンド・チョンソン)の中学校で円盤投げの選手をしていたが、両親と一緒に住んでいた家を離れ、釜山(プサン)に転校したという。学校を卒業後、実業チームで選手としてプレーした。パク氏と一緒だった実業チームのコーチは、「黙々とすべきことをする優しくて実力のある選手だった」とし、「月給を貯めて仁川に借家を用意したと喜んだが…」と涙ぐんだ。パクさんは最近、ペットの資格証を準備しながらアルバイトをしてきたという。

同日、パク氏の妹と遺族の知人5、6人だけが遺体安置処を訪れ弔問した。同じ伝貰詐欺の被害者たちも、パク氏の遺体安置処を守った。この日、遺体安置処を訪れた伝貰詐欺被害者のA氏は「これ以上、このような残念なことが起きないでほしい」と話した。


イ・ギウク記者 ソ・ソルヒ記者 71wook@donga.com · facthee@donga.com