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それでも、愛しなければならない

Posted February. 20, 2023 08:59,   

Updated February. 20, 2023 08:59

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「愛しければならない」(エミール・アジャール著「これからの人生」)

本の中で14歳の主人公モモは、「人は愛なしでも生きられるのか」という質問を何度も繰り返す。そんなモモに、生は毎回とてもひどく「そうだ」と言う。親に捨てられ、自分を引き取ったローザおばさんが死んでいき…。モモに起こるすべてのことが、まるで愛がなくても生きなければならないということを証明しようとするように見える。モモが一番尊敬するハミールじいさんまで「そうだ」と答えたので、人は愛がなくても生きられなければならない。ところがモモは、最後までこの命題を否定する。ハミールさんは一度もそのように話したことがないにもかかわらず、モモはボケてきたハミールに、「人は愛なしでは生きていけない」と言ったと嘘をつく。そして、そのようにおっしゃったのが正しいと言って、自分まで騙す。

私が見守ってきた人生も、やはり耐えなければならないものである時が多く、美しいばかりではなかったので、結局は愛がなくても生きていけるというのが事実かもしれない。だから愛がなくても生きられるということを知りながらも、「違う、愛さなければならない」と無理を言うのは生に対する凄絶な宣戦布告ともいえる。生に負けないための粘り強い闘志だ。しかし、モモの人生や通勤の途中に通り過ぎる世の中のみ見ても、生はあまりにも苛酷で愛も何もなくただ生きることも大変だ。

それで「愛しなければならない」は手に余る人生の真ん中で、呪文を唱えるように呟かなければならない文章だ。愛なしでは生きられないから、そうしないといけないんだから。私が今生きているのは、そこに愛が、それに似たような何かがあるからだと信じるために。私たちから去った存在は、愛なしでは生きていけないから、その意味を十分に果たして去ったのであり、残された私たちはまだ愛しなければならないから生きているのだと信じるために。

だから世の中がいくら愛なしに暮らせるところになってしまうとしても、愛さなければならない。