北朝鮮が、先制攻撃を含む核兵器使用条件の法制化に続き、戦術核運用部隊の実戦訓練まで行って韓国に対する挑発を強めていることを受け、与党で戦術核再配備論が浮上している。核には核で対応する「恐怖の均衡(balance of terror)」を推進しなければならないということだ。
与党「国民の力」の鄭鎮碩(チョン・ジンソク)非常対策委員長(写真)は12日、フェイスブックに、「北朝鮮が7回目の核実験を強行した場合、文在寅(ムン・ジェイン)政府の時に締結された9・19南北軍事合意だけでなく、1991年の韓半島非核化共同宣言も破棄しなければならない」と主張した。
鄭氏の発言に対して、北朝鮮の7回目の核実験時、米国に戦術核の再配備を要請する意味という見方もある。韓国と北朝鮮が1991年に韓半島非核化共同宣言を発表する直前、在韓米軍が韓半島に配備した戦術核をすべて撤収したからだ。ただし、鄭氏は同日、記者団に、「それ(戦術核再配備)に結びつけることは無理がある」と述べた。
同党の党代表候補の金起炫(キム・ギヒョン)議員も同日、ラジオ番組で、「私たちも自衛的手段を講じなければならない」とし、「究極的には核武装をする方向を取らなければならない」と述べた。金氏は大統領室や党と調整していない個人の意見だというが、与党内では核武装論が浮上しつつある。
大統領室も、北朝鮮の核に対応するあらゆる案をめぐって考えているという。韓半島情勢が尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権発足初期とは異なり、かなり厳しいと見ているためだ。政府当局者は、「北朝鮮の7回目の核実験に備えてすべてのオプションを検討するほかない」と話した。
しかし、米国と国際社会の世論などを考慮すると、核兵器を再度持ち込むことは容易ではないという見方が多い。米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報担当調整官は11日(現地時間)、記者会見で、「私たちの目標は、韓半島の完全かつ検証可能な非核化だ」とし、「まだ外交を通じた問題解決が可能だと信じる」と明らかにした。北朝鮮だけでなく韓国を含む韓半島の非核化目標を強調し、戦術核の再配備に否定的な立場を迂回的に明らかにしたのだ。
洪壽英 gaea@donga.com