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「投機資本にやられた官治」ローンスター事態、反省なしではまたやられる

「投機資本にやられた官治」ローンスター事態、反省なしではまたやられる

Posted September. 01, 2022 09:04,   

Updated September. 01, 2022 09:04

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10年間引きずってきた米国系私募ファンド・ローンスターとの国際投資紛争(ISDS)で、韓国政府は2920億ウォンをローンスターに支払わなければならないという判定が出た。世界銀行国際投資紛争解決センター(ICSID)は、仲裁申請後に発生した利子として185億ウォンも賠償することも命じ、政府が支払う金額は3100億ウォンに達する。ISDSは、海外投資家が投資した国の政策や法令によって被害を受けた時、仲裁を通じて損害賠償を受けることができる制度だ。ローンスター事件は、韓国政府を相手に提起された初めての事例だ。

ローンスターと韓国の悪縁は、通貨危機後、経営悪化に陥っていた外換(ウェファン)銀行を2003年に売却したことから始まった。海外投機資本に銀行を安値で売却したという批判があったが、金融市場の開放や外国資本の誘致が急がれるという金融当局の主張が受け入れられた。問題は、ローンスターが金融産業先進化には関心がなく、高い収益だけを期待したという点だ。売却差益と配当金で4兆7000億ウォンの利益を得て「食い逃げ」論難まで起きたが、ローンスターは2012年、ICSIDに仲裁を申請した。外換カード株価操作事件などの影響で金融当局が承認を先送りし、2007年、英国系HSBCに外換銀行を高く売る機会を逃し、その後ハナ金融持株に安く売って損害を被ったという主張だった。

今回、ICSIDは、さまざまな争点のうち、2012年に外換銀行をハナ金融に売却する際、政府の承認が遅れて価格がさらに下がったことだけを一部認め、残りは全て棄却した。損害賠償の規模も、ローンスターが請求した約6兆3000億ウォンのうち4.6%のみ認めた。賠償額が懸念より大幅に減っても、政府は取り消しおよび執行停止申請を検討することにした。ただ、結果は断言できない状況だ。

ローンスター事件は、韓国金融産業が井の中の蛙にとどまっていた時代、金融当局が海外投機資本の本質を見抜くことができず、独断的に金融産業の構造調整を推進して起こしたことだ。問題が発生した後も、スムーズでない政府の仕事処理、専門性不足で結局膨大な税金が支払われることになった。韓国的な官治金融の総体的失敗といえる。

これまで政権が何度変わっても、ローンスター事件と関連して重要な決定を下した人々の一部は、政府の主要ポストに残っている。他の複数件のISDS訴訟も行われているので、対応体制をきちんと整備しないと同じことが繰り返される可能性がある。ローンスター事件の顛末を客観的に盛り込んだ白書を作るなど徹底した反省を通じて、二度と国民の血税が減ることがないようにしなければならない。