ロシアのウクライナ侵攻後に大統領特別代表を辞任し、トルコに出国したプーチン大統領の最側近のアナトリー・チュバイス氏(67・写真)が、神経系疾患の症状で集中的な治療を受けていることが分かったと、AP通信が先月31日、報じた。
チュバイス氏の知人でロシアのテレビパーソナリティーのクセニヤ・サプチャーク氏は同日、「チュバイス氏は手と足の感覚が突然なくなった。病院でギラン・バレー症候群の診断を受けた」と明らかにした。ギラン・バレー症候群は、人体の免疫システムが神経を攻撃する疾患。サプチャーク氏は、チュバイス氏の入院後、化学防護服を着た人々がチュバイス氏の家を調査したと伝えた。これを受け、プーチン氏が野党指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏ら政敵を毒殺しようとしたようにチュバイス氏も暗殺対象に含まれたのではないかという疑いが起きている。
チュバイス氏は1990年代からロシア市場経済を設計し、エリツィン政府で財務長官、経済副首相を務めたロシア政界の要人。1996年、サンクトペテルブルクの副市長だったプーチン氏を中央政界に起用し、その後、プーチン政権下で国営企業トップを長年務めた。
チュバイス氏は、プーチン氏がウクライナ侵攻を指示した直後、自身のフェイスブックに2015年に殺害されたボリス・ネムツォフ元副首相の写真を載せて注目された。ネムツォフ氏は、ロシアのクリミア半島併合を批判した人物。その後、チュバイス氏は特に理由を明らかにせずロシアを離れた。ロシア大統領府は、3月25日、チュバイス氏を気候変動問題に関する大統領特別代表から解任したと明らかにした。その頃、チュバイス氏がトルコ・イスタンブールのATM(現金自動預払機)で野球帽をかぶって現金を引き出す写真がロシアのメディアで公開された。
金民 kimmin@donga.com