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美しいものはすぐ消える

Posted April. 04, 2022 09:04,   

Updated April. 04, 2022 09:31

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「ポン!ポン菓子を作るように桜の木々、/空中いっぱいに白い花のポップを作っておいた日/しばらく世の中をやめて/その下に休暇に行くことだ」(ファン・ジウ「ここでもっと泊まりたい」)

ソウルの片隅で30年近くを暮らした。人々はそんな私を馬鹿だと言う。最初から「金儲けはだめだ」と言う。確かに、家をあちらこちらに移して坪数を増やしていってこそ、金持ちになるものだ。一体どうして引越しできなかったのかって? 知らぬ事を言うな。できなかったんじゃなくて、しなかったんだ。

私の家の目の前にプールがある。その2階は、室内バドミントンコートだ。横断歩道を渡ると、自転車道につながる。運動をするのに、ちょうどいい環境だということだ。おかげで、私の家族はみんな水中で、コートで、自転車のサドルの上で大手を振っている。私が、魔女体力になった理由ではないか。

しかし、最大の自慢は別にある。桜の木々が4キロほど続く遊歩道だ。毎年桜の季節になると、目にしみるほどつぼみをほころばせる。ポン菓子のように、ポップコーンがはじけるように。それこそ「花ポップ」の天地だ。お花見や遠い鎮海(チンへ)まで、複雑な汝矣島(ヨイド)まで行く必要はない。

美しいものはすぐ消える。花の盛りはほんの三日だけ。その時間を逃さないように、私は朝晩出かけて、桜並木を歩く。忙しいことをやめ、生計もそこそこにしておく。詩人の言葉のように、しばらく世間をやめて休暇でも来たかのように、その瞬間を満喫する。それしきの桜、来年また咲くのに何がそんなに大事なんだって。コロナのせいで肌で経験しなかったじゃないか。当たり前のように思っていた日常が崩れた。人に会えず、旅行も行かず、3年という歳月をそのまま失ってしまった。今咲いた桜を逃せば、次の機会がまた来ると誰が壮語するだろうか。

桜が満開になるだろう。花のトンネルを見上げて、私は好きで口を開けて笑うだろう。こんな天国を置いて引越せって? ふん、どっちがもっと馬鹿なのかわからないな。