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一つ目の目

Posted March. 24, 2022 09:04,   

Updated March. 24, 2022 09:04

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一つ目の巨人が岩山の後ろに隠れ、花が咲いた急斜面には裸の女性が横たわっている。この印象的な絵は、フランス象徴主義の画家、オディロン・ルドンの晩年の代表作だ。最も視線を引きつけるのは、奇怪で大きな巨人の目だ。脅迫的に見えたりも不安げに見えたりもする目つきだ。巨人には果たして何があったのか。

ルドンは印象派の画家らと同時代を生きたが、彼らのように日常をとらえて描くより夢や潜在意識など画家の内面世界を象徴的に表現しようとした。ルドンは、妖精や怪物または想像の中の人物が生きる夢の世界を描いたが、この絵もギリシャ神話に出てくるキュクロープスの話を盛り込んでいる。

ホメロスが書いた『オデュッセイア』に出てくるキュクロープスは一つ目の巨人だ。ポセイドンの息子のポリュペモスは、キュクロープスの首領だった。ポリュペモスは無知で傲慢で不遜であるうえ、神々に対する畏敬の念もない無法者だった。だが、心は誰よりも熱かった。絵でポリュペモスは高い山の後ろに隠れ、海のニンフ、ガラテイアをのぞき見している。美しいニンフは裸で花に覆われた急斜面に横たわっている。世を恐れることのない天下のポリュペモスだったが、愛する女性の前では気恥ずかしいのか、近づくこともできず、岩の後ろに身を隠した。問題は、ガラテイアが愛するのはポリュペモスではなく16歳の美青年アーキスだったということだ。暴悪な性格がこれを受け入れるわけがない。ガラテイアがアーキスといるのを見たポリュペモスは怒りのあまり、岩でアーキスを殺してしまった。

恋敵を片づけた一つ目の巨人は、愛を勝ち得たのだろうか。とんでもない。全てはブーメランとなって自分にも戻って来るもの。トロイ戦争で勝利して帰郷したオデュッセウスの一行を食べようとしたが、むしろ目を攻撃され失明した。ルドンは、世の中を統制できる存在であり内面世界の象徴としてよく目を描いた。巨人は誰よりも大きな目を持っていたが、傲慢、非道であったため、目を失い、最後には全てを失った。