Go to contents

執権10年「金正恩主義」、核を抱いて「災い国家」への道

執権10年「金正恩主義」、核を抱いて「災い国家」への道

Posted October. 30, 2021 08:22,   

Updated October. 30, 2021 08:22

한국어

北朝鮮が、金正恩(キム・ジョンウン)総書記執権10年を迎え、党の会議室の壁から金日成(キム・イルソン)、金正日(キム・ジョンイル)父子の写真を外し、内部的に「金正恩主義」という用語を使っていると、国家情報院が28日、国会国政監査で明らかにした。正恩氏が祖父、父親と違った独自の思想体系を確立しようとしているということだ。北朝鮮はまた、韓半島終戦宣言を議論するための対話の条件として、韓米合同軍事演習の中止と鉱物の輸出、石油の輸入などの制裁解除を掲げているという。

金正恩主義は、正恩氏が執権以来、掲げてきた「人民大衆第一主義」と「わが国家第一主義」を含む金正恩時代のドグマを称するとみられる。先代が使った「主義」を正恩氏の名前に付けたのは、金正恩体制の強化に向けて権力層が必死なのだろう。正恩氏には、公式の呼称ではないが、名前の前に「さらなる偉大な首領」という修飾が付き、これまで祖父にだけ与えられた首領の隊列に入った。

正恩氏は今年1月の第8回党大会で総書記に就き、党規約改正を通じて「金日成・金正恩主義」を先代の歴史とした。父親時代の「先軍政治」も削除し、代わりに「人民大衆第一主義」を掲げた。さらに、2017年の長距離核ミサイル挑発後、世界的戦略国家の仲間入りをしたとし、「わが国家第一主義」を唱えてきた。しかし、人民も第一、国家も第一という金正恩主義は、執権10年の現実を隠すための虚像のイデオロギーにすぎない。

2011年12月の金正日総書記の死去と共に権力の座に就いた正恩氏は、親族殺害や側近の粛清など恐怖政治で権力層の忠誠を強要し、住民には核兵器で象徴される国家主義の幻想を植えつけ、大衆動員体制を牽引してきた。3年前に非核化を掲げた外交ショーで国際舞台に現れ、改革・開放の期待も生んだが、結局は北朝鮮を再び世界で最も孤立した自閉国家に戻した。その結果が、正恩氏自ら吐露する深刻な食糧難だ。

正恩氏はもはや、「米国や南朝鮮は我々の主敵ではない」とし、対話の余地を示唆している。それだけ切迫しているということだ。にもかかわらず、対話のテーブルに出てくること自体をカードとし、莫大な補償を要求している。核を抱えて持ちこたえるという考えだろうが、それは執権10年を破綻と災いの歴史で終える結果を生むだろう。飢えた人民には核ミサイルも首領ももはや崇拝と服従の対象にはなれない。