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のんびりとした心がけ

Posted October. 15, 2021 08:28,   

Updated October. 15, 2021 08:28

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月明かりを受けながら鋤をかついだまま、狭い草むらの道をかき分けて帰る詩人。荒れ地を開墾したために、一日中畑仕事をするつらい日課だが、なぜか余裕があるようだ。自分の願望が破れることがなければ、豆芽より雑草がもっと生い茂ろうが、夕方の露に服のすそが濡れることなど気にしない。詩人の望みは何だろうか。普段夢見ていた田園生活を順調に営んでいければと思うだろう。富と権力のために官職を固守し、休まず前に向かって走る普通の士大夫の人生とは打って変わっている。当時、詩人は1つの村を治める県令を3カ月間も持たずに投げ捨てた。米5斗の禄俸に屈しないという名分を立てたが、それ以前にも彼は5、6回社稷と帰郷を繰り返した。世俗の慣習を追い求めて豊かさを享受するか、不便と貧困を甘受するものの精神的平安を得るかで葛藤したという証拠に見える。

門閥主義の社会風潮のおかげで、官職生活には何の障害もないにもかかわらず、欣然と田園生活を決行した詩人の本音は、彼が官職生活を「長い間鳥かごの中に閉じ込められた」ものと考えていたことによく表れている。鳥かごを去った後、ようやく彼は「庭の中には世の中の煩雑さがなく、空き部屋にはのどかさが溢れている」ということを実感した。その後、詩人は「経典を読んでも、深い意味を察するよりは大まかに理解すればいい」というゆったりとした気持ちで、田園生活の余裕を満喫した。

成均館(ソンギュングァン)大学名誉教授