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すべてのスタートは難しい

Posted August. 12, 2021 07:27,   

Updated August. 12, 2021 07:27

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新しい花嫁が、生まれて初めてのシチューを作るために台所で玉ねぎを剥いている。テーブルの横には下ごしらえをする野菜がたくさん積まれていて、鍋もそんなに大きくないのに、タマネギばかり剥き続ける。あまりにも目が痛くて、目がくらみそうだ。家政婦は戸惑いながら、その姿を眺めている。花嫁はどうして玉ねぎばかり剥いているのだろうか。ひどい嫁入り暮らしをしているのだろうか。

リリー・マーティン・スペンサーは19世紀半ば、米国で最も人気のある女性画家だった。英国で生まれ、8歳の時に米国に移民後、独学で画家になった。19歳で初めて個展を開いた時は、天才が誕生したと絶賛された。スペンサーは有名人の肖像画も上手だが、幸せな家庭生活を描いたジャンル画に特に長けていた。

人気がピークに達した30代初めに完成したこの絵は、「幼い夫:最初の買い物」と一対で描かれた。雨の日、無計画に買い物をした花婿は、手に持った籠から野菜などがこぼれ落ちて地面に転がると戸惑い、これを見た通行人たちがくすくすと笑う姿を描いた絵だ。今、台所にあるタマネギをはじめとする様々な農産物は、夫の無分別な買い物の結果と言える。収拾しようとする妻も、中途半端で不器用なのは同じだ。ひょっとしたら夫婦は、たまねぎを使った料理を一週間、ずっと食べなければならなくなるかもしれない。

この絵は、画家自身の経験を盛り込んだものでもある。スペンサーは22歳の時、洋装店の店主に会って結婚した後、13人の子供をもうけた。結婚と子育てでキャリア断絶を懸念したが、専門画家として生涯活動した。その代わり、夫が仕事をやめて家事を引き受けた。夫は、初めての家事に失敗が多く、妻は家族の生計の責任を負うために常に苦労した。

すべての始まりは難しい。だれでも最初は不器用なものだ。失敗を恐れて、始めることさえしないのか。難しいが挑戦するのか。選択は各自にかかっている。家父長制社会で専門職の女性家長として暮らしていたスペンサーが伝えるメッセージは、まさにこのようなものではないだろうか。

美術評論家