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「まさに私たちの物語」仮想現実ドラマで交流する10代たち

「まさに私たちの物語」仮想現実ドラマで交流する10代たち

Posted July. 07, 2021 08:56,   

Updated July. 07, 2021 08:56

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「別れよう。正直お前はブスだよ」。10代の女子生徒のソヨンは、ボーイフレンドからこんな言葉を聞かされる。外見至上主義に陥ったボーイフレンドが、普段着飾らないソヨンに別れを告げたのだ。しばらくして、ソヨンの友人の助けを借りて外見を整えた後に現われると、ボーイフレンドは「また付き合おう」と言って許しを請う。しかし、すでにソヨンのそばには、外見は気にせず、純粋に愛してくれる新しい彼氏がいる。ソヨンは元彼に「もう連絡するな」と叫ぶ。

ネイバー系列会社ネイバージェットが運営するメタバースプラットフォーム「ゼペット」を活用して作ったドラマ「女の変身は無罪」の内容だ。2018年に発売されたゼペットは、仮想キャラクターを提供して、世界で2億人が使うほど人気を集めている。「女の…」は、ゼペットのキャラクターを活用して、動画編集プログラムでBGMと字幕などを追加して作った作品。10代と推定される人が、2019年9月にユーチューブに掲載したこのドラマは、この1年間で新しい口コミで54万件も再生された。内容は単純でどこかで聞いたような気がするが、10代の関心事である「容姿ストレス」を扱って注目を集めた。「子どもっぽくて幼稚だが、私たちの物語だから面白い」「胸がすっきりする」など、共感型のコメントが相次いだ。

このように、ゼペットを利用して作ったドラマが、ユーチューブで人気を集めている。さまよっていた青少年たちが友情を深めながらお互いを慰める「一陣(学校内暴力サークルである一陣会のメンバー)が善良になる過程」は51万回、高校生たちの恋物語を扱った「君が好きなら」は16万回再生された。現在、ユーチューブには数千本のゼペット・ドラマがアップロードされている。ネイバーの関係者は、「ユーザーが、ゼペットが提供するキャラクターを使ってコンテンツを作り、他のプラットフォームを通じて共有する現象が起きている」とし、「現実と仮想現実の境界が消えたメタバース世界をMZ世代(ミレニアル世代+Z世代)が再加工している」と話した。

ゼペットドラマは、その大半がMZ世代が作って楽しむ。学校を背景に、友情と愛が繰り広げられる学習塾が大半だ。けんかする男子生徒、外見を飾る女子生徒など、主人公たちはMZ世代の関心事や好奇心をはっきりと反映する。普通、ドラマ1本は10分前後と短いが、5話にわたって連載されるほど、かなり長いものもある。ドラマを見るだけでなく、直接制作したいと思うMZ世代は、オンラインコミュニティでドラマの制作方法を共有する。大勢でそれぞれの役割を分けて脚本を書き、キャラクターを作った後、編集して一緒にドラマを作ることもある。一種の共同創作というわけだ。

ゼペットドラマは、2000年代に流行したインターネット小説と似ているという分析も出ている。2000年代に中高校生たちが既存の作家が書いた重いテーマの小説の代わりに、同年代の日常を扱ったインターネット小説を軽く楽しんでいたように、映像に慣れたMZ世代が、ゼペットドラマを作って見るという。チョン・ドクヒョン大衆文化評論家は、「MZ世代は完成度は高くなくても、自分が関心のあるテーマを扱ったコンテンツをよりよく受け入れる」とし、「映像を編集して見ることに慣れているMZ世代にとって、ゼペットドラマは彼らならではの好みと話を共有する遊び場の役割を果たしている」と話した。


イ・ホジェ記者 hoho@donga.com