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「核先制・報復打撃」と脅かした北朝鮮、バラ色の幻想を破れなかった南政府

「核先制・報復打撃」と脅かした北朝鮮、バラ色の幻想を破れなかった南政府

Posted January. 11, 2021 08:15,   

Updated January. 11, 2021 08:15

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北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は8日の労働党第8回大会事業総和(決算)で、「核保有国の地位で、敵対勢力の脅威が終わるまで、軍事力を持続的に強化していく」と述べた。また「核兵器の乱用はしない」としながらも、核兵器の先制及び報復打撃の可能性を排除しなかった。この3年間続いた非核化交渉の基調を覆し、核放棄の意思がないという考えを明確にしたのだ。

金正恩は特に、「最大の主敵は米国」と強調した。経済失敗で乱れた民心を収拾し、対米圧迫の強度を高めるための狙いがうかがえる。このため、核武力の最大化計画を詳細に公開した。まず核先制・報復打撃能力を高度化するために、1万5000キロの射程圏の標的に対する命中率を高めると述べた。この程度の射程圏なら、米本土の大半が含まれる。

核推進潜水艦や極超音速兵器開発の内容にも言及した。核潜水艦は長い間潜航が可能で、航路探知が難しい。全世界のどこでも奇襲攻撃ができる戦略兵器だ。米国が北朝鮮の核潜水艦を「ゲームチェンジャー」と見て、実戦配備するかどうかに敏感になる理由だ。極超音速兵器も現在、ミサイル防衛(MD)システムでは迎撃が難しいのが実情だ。

金正恩が非核化の言及をしなかったことも注目される。今後、米朝交渉が進む場合、構図を完全な非核化ではなく核軍縮に方向転換しようという考えを示したものと見られるためだ。北朝鮮が軍縮交渉を行えば、核保有国の地位を固めることになり、非核化を貫こうとする米国との交渉は難航せざるを得ないだろう。

金正恩は、韓国政府に対しては、「先端軍事装備の搬入と韓米軍事演習を中止しなければ、南北関係は3年前に戻る可能性がある」と警告した。そして、韓国政府が提案した防疫、人道主義的協力などを非本質的問題と位置づけた。言うことを聞かなければ、いつでも核兵器という非対称戦力でこの状況を壊せるという脅迫に相違ない。

金正恩が事実上、非核化交渉の基調を放棄した厳重な状況であるにもかかわらず、統一部は「近いうちに韓半島の平和・繁栄の新たな出発点を作っていくことを期待している」とコメントした。北朝鮮は核脅迫をしているのに、南北関係の復元を期待するバラ色の幻想だけを強調し続けているのだ。これまで累積してきた対北朝鮮の低姿勢外交基調で安易な対応だ。政府は、北朝鮮に対して再び完全な非核化交渉に乗り出すことを断固として要求しなければならない。今からでも漠然とした楽観論を捨てて、現実を冷静に直視しなければならない時だ。