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ゴールドマン・サックスCEOはどのように「米中交渉」したのか

ゴールドマン・サックスCEOはどのように「米中交渉」したのか

Posted September. 05, 2020 09:19,   

Updated September. 05, 2020 09:19

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「米国と中国の関係で『避けられない』ことが存在するとは考えない。・・・敵対的な関係を回避する鍵は、双方いずれにも利益になるよう現実的な問題を解決することだ」

世界的な投資銀行ゴールドマン・サックスの最高経営責任者(CEO・1999~2006年)、米財務長官(06~09年)を務めた著者ヘンリー・ポールソン氏の言葉だ。ポールソン氏は、成功的なキャリアを積んだが、08年の世界金融危機と関連して、「放火癖のある消防隊」という批判に苦しんだ。金融危機を扱ったドキュメンタリー映画「インサイド・ジョブ」(11年)も、ポールソン氏を責任を負わなければならない人の1人に挙げた。

このような先入観を消せば、『ディーリング・ウィズ・チャイナ』は、米国と中国、主要2ヵ国(G2)の対立の解決策がうかがえる本だ。原題は『Dealing with China』

ポールソン氏のアドバイスは、グローバル企業のCEOであり、米経済政策の責任者として中国との経験で得られたものだ。25年間で100回以上中国を訪れたポールソン氏は、江沢民、胡錦濤、習近平氏ら3人の国家主席をはじめ、中国の経済エリートと広く交流してきた。

 

06年に財務長官に任命された後の初の訪中で、ポールソン氏は誰に最初に会うべきか苦慮した。ポールソン氏の選択は、当時浙江省書記だった習近平氏だった。その後、ポールソン氏と会うことをよく思わなかった胡錦濤主席との面談が劇的に実現した。習氏も、米財務長官が初の訪中で最初に自分に会ったことを喜んだという。

同書は、ポールソン氏が主導した中国企業の民営化やグローバル化、大学改革、米中経済交渉などの事例も扱った。最高位級でなければ分からない後日談や中国を動かす人物への評価が興味深い。ジョージ・W・ブッシュ元米大統領が胡主席に「最大の悪夢は何か」と尋ねると、胡主席は「毎年2500万の新たな雇用を創出すること」と答えた。

中国に西側の銀行家として「資本主義の火」を伝えたプロメテウスを自任するポールソン氏の主張は明確だ。中国の繁栄が米国をはじめとする世界の利益に合致するということだ。


金甲植 dunanworld@donga.com