
「投高打低」の流れは1年で終わったのか。
12日までにあった2020プロ野球の32試合で生まれた本塁打は計76本。試合当り2,4本だ。統一球の反発係数を下げた昨年の試合体当たり本塁打数は1.4本だった。
この日まで全打席(2494打席)のうち2.83%が本塁打で終わった。2018年(3.09%)と1999年(3.07%)に次いで3番目に高い割合だ。シーズン序盤で標本は多くはないが、昨年と一変した流れが読み取れる。昨年は、この割合が1.82%に過ぎなかった。
確かに、ボールが遠くまで飛んでいる。斗山(トゥサン)のベテラン投手イ・ヒョンスン(37)は、「選手たちの間で『打球があんなにまで飛ぶものなのか』という話が出ている状況だ」と伝えた。
まず「ボールが変わっていないか」を疑うことが可能だ。昨年、全体的に打撃記録が振るわなかったのは韓国野球委員会(KBO)が統一球の反発係数を意図的に下げたからだ。しかし、KBOは7日、すでに「統一球を随時検査した結果、すべてのサンプルが合格基準を満たした」と確認している状態だ。反発係数の合格基準は0.4034~0.4234だ。大きさと重さも昨年と大きな差がないという。
ただ打者が、反発係数が下がったボールに対する気持ちが変わったという見方がある。昨年6本塁打でデビュー以来最少本塁打を記録したハンファの金泰均(キム・テギュン=38)は、「昨年は良く当たった打球がフェンス前で捕球される場面が増えてから、心理的に萎縮してしまったと言う打者が多かった。そこから打撃フォームが崩れた選手が少なくなかった。ところが今年は経験を重ねてから、みんな自分のフォームを取り戻しているようだ」と話した。
気持ちだけでなく、打撃のメカニズムを変えた選手も多い。昨季本塁打王(33本)の朴炳鎬(パク・ビョンホ=34、キウム)は、「多くの打者は打撃ポイントを前に置く練習を沢山した。今年はシーズン準備期間が長くなったので、こうした打撃フォームにもっと慣れている」と話した。
今年は新型コロナウィルスの影響で昨年(3月23日)より43日遅れた5月5日に開幕を迎えた。このため、打者だけでなく投手も準備期間が伸びた。
ところが打者に有利な結果が出ている理由は何だろうか。高い気温も影響を与えた可能性がある。気象庁によると、今年5月初めの平均気温は18.7度で昨年3月下旬(7度)より12度近く高かった。
これまでの統計によると、野球では気温が上がると長打が増える傾向がある。2009年から2018年までの10年間、プロ野球試合の気温別の長打率をみると、9度以下の時は.371だったが、10~19度では.410に上がった。30度以上になると長打率は.434まで上がる。
気象庁は、今夏が例年より暑いだろうと予報した。本当に気温が影響を与えているのなら、シーズンを通して本塁打ショーが繰り広げられても驚くべきことではないだろう。
黃奎引 kini@donga.com