2014年9月、タイ南部の休養地、タオ島の海辺で20代の英国人男女が裸体の状態で死亡したのが見つかった。バックパック旅行中に出会った彼らは、ダイビングを楽しむためにここを訪れたが、一夜にして冷たい遺体となった。タイ警察は、20代のミャンマー人の男2人を逮捕した。彼らは犯行を認め、事件は一段落したかのように見えた。
しかし、昨年の公判過程でミャンマーの青年たちは、拷問を受けてうそをついたと供述を覆した。彼らは、「警察が手足で暴力を振りながら、『犯行を認めなければ海に投げつけて魚のえさにする』と脅かした」と主張した。議論は膨らんだが、タイの1審裁判所は昨年12月、彼らに対して死刑判決を下した。
人権団体やミャンマー人たちは、タイを含め東南アジアのいたるところで抗議デモを行った。挙句の果てに4日は、タイ警察庁ウェブサイトがハッキングされ、初期画面に、「我々は正義を願う」という文章が現れたと、複数の英メディアが7日付で伝えた。被告人側は控訴を決めた。タイには現在、450人の死刑囚が服役しているが、2009年以降、実際に死刑が執行されたことはない。
タイ警察は初動捜査をないがしろにし、自ら混乱を招いたという指摘が出ている。タイのとある鑑識専門家は、「犯行道具の庭の手入れ用つるはしを、警察がずさんに扱ったため、DNA証拠が毀損され、結局、法定証拠能力を失った」と話した。事件現場の海辺には防犯カメラ(CCTV)もなく、目撃者も現れていないので、真実解明は容易ではなさそうだ。






