憲法裁判所は18日、趙志浩(チョ・ジホ)警察庁長官を裁判官9人全員一致で罷免した。昨年12月3日の「非常戒厳」を受け、国会が弾劾訴追してから1年が経った。趙氏は戒厳当日の夜、尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領の指示で国会議員の国会への出入りを封鎖し、中央選挙管理委員会に警察官を配置して、武装した戒厳軍を支援した。憲法裁は、尹氏の違憲・違法な指示を実行した趙氏の行為が、代議制民主主義と権力分立の原則を重大に侵害し、憲法秩序に及ぼした負の影響は極めて深刻だと判示した。
45年前の軍事クーデターの悪夢を呼び起こした尹氏の非常戒厳が、憲法を正面から踏みにじったことを憲法裁が改めて確認したものであり、戒厳の遂行に加担した中枢の関与者も、憲政秩序への害が重大であり、罷免の対象となることを明確にした。尹氏は戒厳宣布の約3時間前、三清洞(サムチョンドン)の安家に趙氏を呼び、軍が国会に投入されるため、警察官を配置して国会を全面遮断するよう命じ、趙氏はそのまま実行した。その結果、戒厳解除決議案の採決のため本会議場に入ろうとした議員らは、ひそかに塀を越えなければならず、採決は遅れた。
憲法裁は、たとえ大統領の指示であっても、警察庁長官が違憲かどうか検討すらしなかったのは、憲法を守る責務を放棄したものだと指摘した。戒厳の夜、市民は戒厳軍に抵抗し、現場の軍・警察も消極的に任務を遂行した。それにもかかわらず、趙氏は大統領の指示に盲従し、「警察庁長官は市民の安全を守る」という国民の信頼を自ら裏切った。趙氏は戒厳当時、違憲・違法性を認識できなかったと主張したが、憲法裁は、平均的な法常識を持つ一般人でも戒厳が違憲だと分かったとして、全面的に退けた。
憲法裁の今回の決定は、戒厳宣布に向かう尹氏を誰一人として止めることもなく、戒厳文書を受け取った事実さえ口外しなかった閣僚や、尹氏の指示を受けた際には違憲性を検討する余裕がなかったとする軍首脳にも示唆するところが大きい。尹氏をはじめ、国政の要職にあった首相や長官、軍将官、趙氏ら警察首脳部など計27人が、戒厳を巡る裁判を受けている。違憲の戒厳に対する憲法上の審判に続き、核心関係者に対する司法の断罪まで、ぶれることなく成し遂げねばならない課題が残っている。
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