「北朝鮮版ガールズグループ」牡丹峰(モランボン)楽団の団長である玄松月(ヒョン・ソンウォル、37)氏は、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の初恋の相手とされる。金第1書記より5才上の玄氏は、労働党国際部長と労働新聞責任主筆を務めた玄ジュングクの姪だ。年上の成靇琳(ソン・ヘリム)と恋人関係だった父親の金正日(キム・ジョンイル)総書記は辛い経験からか、二人を引き離したという。慶ミン大学のカン・ミョンド教授は、「玄氏があの年齢で人民軍大佐の階級についたのは、金第1書記の寵愛がなければ説明できない」と指摘した。
◆金総書記の死去後、金敬姫(キム・ギョンヒ)、張成沢(チャン・ソンテク)両氏は、銀河水管弦楽団の看板声楽家だった李雪主(リ・ソルジュ)氏を金第1書記の配偶者に推薦した。女性問題が権力継承に障害にならないようにするためだった。牡丹峰楽団は2012年、金第1書記の指示で創立されたが、雪主氏が楽団メンバーの選抜に深く関与したという。玄氏は、銀河水管弦楽団と普天堡電子楽団の声楽歌手として有名だった。雪主氏が夫と元恋人の玄氏のうわさを知らなかったわけはないだろう。一時、玄氏の処刑説が飛び交ったのも、これと無関係でなさそうだ。
◆国家情報院は、「公演内容が金第1書記崇拝一色なので、中国が出席要人の格を下げた」と公演中止の理由を推定した。対北朝鮮ラジオ放送「自由北朝鮮放送」も、中国が金第1書記称賛一色の公演曲の変更を求めると、玄氏が「私たちの公演は元帥様(金第1書記)が直接ご覧になった作品なので、点の一つも抜くことはできない」と反発した。結局、玄氏が平壌(ピョンヤン)に報告し★公演開始の数時間前に撤収命令を下したという。
◆金第1書記は、「中国の言いなりになるな」と「対中高姿勢」を今年10月に指示した。中国序列5位の劉雲山・政治局常務委員が労働党創建70年記念式に参加するために訪朝した直後だった。「粘れば中国は折れる」という考えだ。牡丹峰楽団の公演中止もその延長線から出たのかもしれない。しかし、安保当局関係者は、「習近平主席は大いに怒っただろう」とし、中朝関係に少なからぬ後遺症が残るものと見通した。
崔英勲(チェ・ヨンフン)首席論説委員 tao4@donga.com
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