
優雅で哀切だった。20世紀後半最高のドラマバレエと言われている「オネーギン」を引退作に選んだ国立バレエ団の姜秀珍(カン・スジン、ドイツ・シュツットガルトバレエ団の首席バレリーナ)団長の判断は卓越なものだった。
6日から3日間、ソウル芸術の殿堂・オペラ劇場で行われたドイツ・シュツットガルトバレエ団の「オネーギン」公演で、主人公のタチヤーナ役を演じた姜秀珍は、優れた技巧や円熟味あふれる演技を披露した。170センチ弱の長身だが、彼女の動きはまるで雲の上を軽やかに歩くようで、優雅さと安定感を同時に感じさせた。
大まかなあらすじはあるが、ダンスの技巧が重視される古典バレエとは違って、ドラマバレエは、古典バレエの基本的枠組みは維持するものの、登場人物の感情や行動を浮き彫りにさせる。そのため、ダンサーの感情演技によって、観客が感じる感動の差は千差万別だ。そういうことで、姜秀珍は、タチヤーナの感情をきちんと理解していた。純粋な田舎少女のタチヤーナが、貴族青年オネーギンに恋をし、ときめく感情を手紙に移す1幕、タチヤーナが自分の誕生日パーティーで、オネーギンに振られる2幕、グレーミン公爵の妻となったタチヤーナが、後で訪ねてきては愛を告白するオネーギンを愛しながらも拒否する3幕共に、姜秀珍の熟した演技に、観客らは十分はまり込むことができた。
姜秀珍は昨年の「蝶々夫人」の後、1年4ヵ月間も舞台から離れていたが、ダンスは全く衰えていなかった。特に、オネーギンの白眉と言われている1幕2章の「鏡のパドドゥ(男女二人の踊り)」と3幕2章の「悔恨のパドドゥ」が圧巻だった。鏡を見れば、未来の夫が現れるゲームを友人たちとしていたところ、鏡の中からオネーギンの姿を見つけたタチヤーナが、オネーギンの幻影と一緒に踊る「鏡のパドドゥ」で、姜秀珍は高難度の回転動作などで全くミスがなかった。長い彷徨の末帰ってきたオネーギンから、愛の告白を受けるが、彼を突き放す「悔恨のパドドゥ」では、落ち着きと共にタチヤーナの苦痛が感じられた。
姜秀珍はこれまで、「今日、直ちにバレエを辞めても後悔などない」と語ってきた。それだけ悔いを感じさせない氏の最後の国内公演を目にした観客らは、皆、起立拍手を送りながら彼女の退場を残念がった。
初日の公演ではシュツットガルトバレエ団のもう一人の首席バレリーナのカン・ヒョジョンが、タチヤーナの妹、「オリガ」役を演じ、姜秀珍と共に印象的な演技を披露した。また、予めチケットを購入できなかった観客らは、公演開始5時間前から劇場にきて、現場で売る視野制限席のチケットを購入するため、列に並んだりもした。
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