
金榮訓(キム・ヨンフン)雇用労働部長官は、ストライキ寸前となっている三星(サムスン)電子の労使対立について、「労働者のいない企業はなく、会社を潰すために設立された労組もない」とし、「ストそのものが目的でないなら、結局は交渉で終結させなければならない」と強調した。民主労総委員長出身で、誰よりも労働界を理解する「親労働長官」が、対話による事態解決を強く促したのだ。15日には、三星電子社長団18人も国民向け謝罪文を発表し、「条件を付けず開かれた姿勢で対話に臨む」と表明した。この日、金氏と三星電子社長団は相次いで労組側と直接会い、交渉再開を訴えた。
破局だけは防がなければならないとの切迫した声が高まっているが、現場ではストの暗雲が一段と濃くなっている。経済的損失はすでに始まった。三星電子は全面ストによる工場稼働停止の衝撃を和らげるため、段階的に稼働率を下げる「ウォームダウン」作業に着手した。24時間休みなく稼働する半導体先端工程は、短時間でも停止すれば被害が天文学的規模に膨らむ。金正官(キム・ジョングァン)産業通商資源部長官は、「工場停止時には1日最大1兆ウォン程度の生産支障が生じる」とし、「現在加工中のウエハー全量が損傷した場合、最大100兆ウォンの被害が予想される」と懸念を示した。
政府内では、最後のカードである「緊急調整権」の発動まで検討している。争議行為を強制的に中断させる緊急調整権が発動されたのは、1963年の制度導入以降わずか4回しかない。韓国経済における半導体産業の絶対的地位を考えれば、緊急調整権発動の名分は十分あるが、そこまで行かないことが望ましい解決策だろう。労使が速やかに交渉テーブルへ復帰し、自ら合意を導き出すことが、皆が生きる道だ。
韓国がストリスクで揺れる間にも、世界半導体戦争の競争相手は恐ろしい速度で前進している。米国では、韓国が主導する高帯域幅メモリ(HBM)なしでも稼働可能な次世代人工知能(AI)チップの開発が急がれており、米国、中国、台湾などのメモリ競合各社も大規模工場増設を急ぎ、韓国の空白を埋める備えを進めている。AI半導体好況は、韓国経済が根源的競争力を回復できる絶対的機会だ。ストというオウンゴールで、この機会を逃してはならない。






