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[社説]金英蘭法から金英蘭はもはや退かなければ

[社説]金英蘭法から金英蘭はもはや退かなければ

Posted March. 11, 2015 07:23,   

金英蘭(キム・ヨンラン)前国民権益委員長が10日、「金英蘭法」と呼ばれる不正請託および金品授受禁止法が国会を通過したことを受けて、初めて口を開いた。金氏は、「ここまで来ただけでも奇跡のようだ」と公職腐敗根絶の初の立法の実現を歓迎しながらも、議員の利害関係によって「中途半端な法」になったと指摘した。

国民権益委の原案の核心である利害衝突防止の規定は、国会議員や長官が子弟を特別採用したり、公共機関長が親類の会社に特恵で工事発注するなど、公職と私益が衝突する典型的な腐敗行為を禁止したものだが、これがまるごと抜け落ちた点は問題がある。また、原案と違って、国会議員が第3者の嘆願を伝えることを不正請託の例外とした点も、「立法ブローカー」を量産する恐れがあり、修正が避けられない。

金氏は記者会見で、「同法が金英蘭法と呼ばれることを望まない」と言ったが、メディアがつけた俗称であっても、自分の名前がついた法に愛着があるだろう。「施行する前に改正・修正の話をするのは、あまりにも性急だ」と述べ、ひとまず施行することを強調したのも、愛着があるからだろう。しかし、法案が通過した今、金氏の意見は様々な私見の一つだ。インタビューの要請が押し寄せたため、記者会見を開いて答えたが、現国民権益委員長を差し置いて出てくることは適切でない。同法の提案者として、権益委が作成する施行令と国会の議論、憲法裁判所の審議を見守り、退くのが望ましい。

金英蘭法の適用対象にジャーナリストと私立学校の教職員が含まれたことについて、金氏は「違憲だと考えていない」とし、「国民の69.8%が望ましいと評価した調査結果を見れば、過剰立法であるとか比例の原則に反したと見ることはできない」と指摘した。しかし、ポピュリズム的な法律を牽制することが憲法裁判所の重要な機能であることを考えても、時流によって変化する世論調査を根拠に法律の違憲性を決めることはできない。すでに大韓弁護士協会は、憲法の平等の原則に反し、言論の自由を傷つける素地が大きいとして憲法訴願を出し、ソウル地方弁護士会は、憲法の守護者である大統領に拒否権を行使するよう求めている。

昨年のセウォル号沈没事故後、東亜(トンア)日報が実施した「国家大革新に関する世論調査」で、国民が韓国社会の最大の問題として選んだのが「根深い腐敗」だった。公職を利用して私益を追求する行為がまさに腐敗だ。これを根絶するには、金英蘭法で違憲的で過剰立法的な要素を取り除き、金氏が元来追求していた公職腐敗根絶の趣旨に戻るのが正しい。1年半の猶予期間に深い議論が必要だ。