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[オピニオン]アンチエージングの欲望

Posted January. 03, 2014 03:13,   

09年に国内で公開した映画、「ベンジャミン・バートン数奇な人生」には、逆に年を取る男が登場する。老人として生まれた主人公のベンジャミンは、年々若返り、赤ちゃんとして生を閉じる。年を取るほど若返る人生も、うらやましいことではなさそうだ。劇中の主人公は語った。「全てのことが思うがままにならない時、狂犬のように暴れたり、暴言を浴びせかけ、神をうらむことはできる。しかし、最後の瞬間には結局、全てのことを受け入れざるを得ない」

◆「新年、明けましておめでとうございます!」。会社ごと仕事始めが行われた昨日、我々が最も多く交わした幸せを祈る言葉だ。14年、我々はどのような福をもらうかは予測できなくても、新年が明ければ、皆、間違いなく一歳ずつ年を取ることだけははっきりしている。鍛えられた体やイケメンに続き、実際の年より若く見える童顔が、もう一つのスペック(資格)であり、競争力となった韓国社会。5060世代が鏡に映されたしわを数え、心が沈むことも、このときの通過儀礼だ。肌の老化を改善する「アンチエージング」ラインの化粧品を買うか、若く見える童顔手術を受けるか、内心、悩んだりしながら。

◆70歳を2年後に控えたガース・ヒディンク元韓国サッカー代表チーム監督が、全体的なアンチエージングサービスを受けるため、5日来韓する。肌の手入れを受ける恋人のエリザベス氏と、1週間滞在し、腹部脂肪を減らす超音波手術に、まぶたのたれを解決するための手術を受ける予定だという。氏の訪韓は、美容外科や皮膚科を含め、韓国医療の質が世界的レベルでありことを示す「医療韓流」の事例だ。

◆時の流れに逆行しようとする人間の欲望に限りはない。長生きしたいが、老いたくはないという二律背反的欲求は、ウェルエージングやハッピーエージング、スマートエージングなどの概念で包装される。つるつるした顔やスリムな体のために、医術の力をある程度借りるのは悪くないが、傷や苦痛まで経験しながら、勲章のように刻まれた人生の絵柄まで丸ごと消すのは、必ずすべきかどうか疑問だ。端から老化に抵抗するよりは、歳への礼儀を守りながら生きること、それが今の人生を受け入れ、きちんと楽しむことになるのではないか。

高美錫(コ・ミソク)論説委員 mskoh119@donga.com