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「監察」の一発で降参した蔡検察総長

Posted September. 14, 2013 03:38,   

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居酒屋の女店主Y氏との間に子どもがいるという疑惑が提起された蔡東旭(チェ・ドンウク)検察総長が突然、辞意を表明した。法務部が蔡氏に対する監察に着手したと明らかにした直後だった。蔡氏は、釜山(プサン)東部支庁勤務時代に会った居酒屋の女店主との間に生まれた子どもがいると報じられた。「事実無根」を主張して頑強に持ちこたえたが、法務部が監察に着手すると、辞意を表明した。蔡氏は辞任しても、婚外子という報道は事実無根だと再度強調した。

検察総長が辞任しなければならないほど爆発力のある事案だったが、蔡氏はもはや公人ではないため、婚外子の問題はうやむやなある可能性が高かった。

法務部は、「国家の重要な司正機関の責任者に対する道徳性論議が続くことは、検察の名誉と検察に対する国民の信頼に甚大な影響を及ぼす重大な事案だ」とし、監察着手の背景を明らかにした。朝鮮日報の報道で論議が1週間ほど続いたにもかかわらず法務部は何の反応も示さなかったが、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領の帰国2日後に突然、監察が発表されたことを蔡氏は辞任への圧迫と受け止めたようだ。

蔡氏は、たとえ婚外子がいないとしても、今まで明らかになった事実だけでも監察対象であることは明らかだ。蔡氏と親しかったY氏は、先日報道機関に送った手紙で、蔡氏が自分の子どもの父親であることを否定したが、1999年の釜山東部支庁検事時代から長い間つきあい、子どもの学籍簿に父親の名前を蔡東旭と書き、自分の家族にまで蔡氏が子どもの父親であると話していたことを明らかにした。蔡氏は婚外子のことは否定したが、このような事実については否定しなかった。検察総長に対する論議が続けば、「正常な業務が遂行できず検察組織も動揺せざるを得ない。婚外子が事実かどうかはともかく、検事総長として今後の進退に決断を下さないわけにはいかなかったのだろう。

法務部が監察の着手を発表する1日前、蔡氏は朝鮮日報に対して訂正報道請求訴訟を起こし、訴訟とは別にDNA検査も行なうと明らかにし、疑惑解消を誓った。DNA検査にはY氏の同意が必要で、蔡氏の意志だけでは実現しない。たとえY氏が同意しても、現在子どもが米国にいるため、いつ行なわれるか分からない。

これまで大統領府が、国情院大統領選介入疑惑の捜査などと関連して、蔡氏とあつれきが生じている様子だった。郭尙道(カク・サンド)民情首席秘書官の更迭もそのような視点で見る人が多かった。特に、元世勳(ウォン・セフン)国情院長に選挙法違反容疑が適用されたことに対して、大統領府の反発が大きかったという。野党はこれに食いつき、朴大統領を攻撃した。野党は、蔡氏の辞任を政治圧力に結びつけようとするだろう。

蔡氏が法務部の監察着手からすぐに辞意を表明したことは、これまでの強硬な態度から見て堂々としていると言うことはできない。任命権者である大統領と推薦権者である法務部長官が、事実上の不信任を表明した状況で、業務を遂行することは容易くない。しかし婚外子が事実でないなら、DNA検査を簡単にあきらめることもなかった。

蔡氏は辞意を表明して公職者から民間人に戻った。誰も蔡氏に婚外子について真実を明らかにせよと要求できなくなった。蔡氏は辞任の言葉で、訂正報道請求訴訟やDNA検査について言及しなかった。蔡氏が総長を辞任した後も、訴訟や検査を進めるのかは不確かだ。一国を真実攻防に追い込んだたこの事件がうやむや終わることは虚しい。

婚外子がいるという報道が出た直後、蔡氏が見せた反応は「私は知らない」だった。非常識であり生ぬるいものだった。その後、「事実無根」と反論の強度を上げたが、DNA検査によって疑惑を払拭するという表明は後になって出てきた。

蔡氏は、検察総長推薦委員会を経た初の総長だ。李明博(イ・ミョンバク)大統領府の人事検証と国会の人事聴聞会も通過した。にもかかわらず、Y氏はそのいかなる検証にもひっかからなかった。検証システムの不備だ。大統領府は検証システムの強化とともに速やかに信望のある検察総長を任命し、緩んだ検察組織を安定させなければならない。