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教権を踏みにじる社会に警鐘を鳴らす判決

Posted June. 27, 2013 06:46,   

キム氏夫婦は、息子に体罰を加えたという理由で、校長室で担任教師を土下座させ、植木鉢と棒で威嚇し、暴行を加えた。昌原(チャンウォン)地裁のパク・チャンス部長判事は、キム氏に懲役8ヵ月、キム氏の妻ら2人に懲役6ヵ月、執行猶予2年をそれぞれ言い渡した。教権侵害をこれ以上看過できないという警鐘を鳴らした意味ある判決だ。

パク判事は、判決の前にキム氏夫婦に、学校関係者に対して土下座をして許しを請うよう指示し、判決を延期した。拘束中のキム氏に代わって、彼の妻が学校を2度訪れ、被害者の教師には電話で謝罪した。それでもパク判事は、「息子が不当な処罰を受けた事実を言葉や法的な方法で解決しようとせず、私的な報復を加えたことは容認されない行為だ」として実刑を言い渡した。量刑を軽くしたい切羽詰まった思いで出た謝罪は本当の謝罪とは程遠い。

韓国社会の教権侵害はもはや放置できない水準だ。教育部によると、全国の小・中・高校で1日平均40件の教権侵害が発生している。2009年に1570件にのぼった教権侵害件数は2012年に7900件に増加した。教師に対する暴言、授業妨害が大半だが、教師への暴行やセクハラのケースも200件に達する。教師に対する言われのない嘆願、暴言や暴行、民事・刑事訴訟など、父兄による教権侵害も増えている。「清潔にして学校に来させて下さい」という担任教師に、「うちの子を『仲間はずれ』にさせる」と怒ったり、授業の内容を密かに録音して脅迫するケースもあった。

教権侵害がいわゆる左派教育監が進めた学生人権条例の施行と同時期に急増したことも注目する必要がある。2011年、韓国教員団体総連合会のアンケート調査でも、教師の10人に7人が体罰禁止と学生人権条例の施行後、学習権と授業権が侵害されていると答えた。教師中10人に4人以上が学生指導時に悪口を言われたり、教権侵害を受けた経験がある。学生の人権が最高の価値であるように掲げたため、教師が「人権侵害犯」のように認識され、教権失墜の原因になっている。教育界は教権保護法の制定を推進しているが、教権を法だけで守ることはできない。父兄が子どもの前で教師を尊重する態度を見せることが、子どもにとっても良い人格教育だ。昌原地裁の判決は地に落ちた教権を回復させるうえで大いに貢献することだろう。