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[オピニオン]引継委員らの「付け」

Posted December. 31, 2012 10:44,   

官庁街で出回っているうわさの中に、「付けの踏み倒しに最も適した機関は、ほかならぬ大統領職引継委員会だ」という言葉がある。大統領周辺の飲み屋では一時、「我々は引継委から来た者だが…」という言葉だけで付けが許される時代もあったらしい。引継委は期間限定の組織だ。数ヵ月後に組織が解散し、人々が散り散りになると、飲み屋のオーナーは、付けをどこから回収すべきかわからなくなるという意味だ。冗談かもしれないが、大統領職引継委が強力な力を持っていながら、あまり責任は取らない組織だというひとかけらの真実が入っている。

◆08年、李明博(イ・ミョンバク)政府発足直前、当時のイ・ギョンスク大統領職引継委員長は、「米国ではオレンジと発音すれば、誰もわからない、『オリンジー』と発音しなければならない」と主張し、マスコミから批判を受けた。引継委は、「委員会の公式的見解ではない」と一歩下がり、その後、外来語の表記法が変わったわけでもなく、単なる舌禍に終わった。そのごろ、お菓子の「セウカン」からネズミの頭が出てくる食品衛生関連の出来事が起きると、「引継委員長が、『オリンジー(ネズミのコ)』云々すると、本物の『ネズミのコ』が現れた」と皮肉る言葉も出てきた。

◆イ委員長としては、英語の発音一つで、過度に叩かれた気がして悔しいかもしれないが、逆に考えれば、占領軍のまねをする人たちと中途半端な政策構想が招いたハプニングだった。数ヵ月後に起きた米国産牛肉輸入をめぐる反対デモの芽は、このときからすでに出ていたのかも知れない。当時、なんだかんだといって引継委に参加した人たちは、「最多の票差での当選」という大統領選挙結果を、どんなことをしても許されるという白紙委任状だと勘違いし、自分らも気づかないうちに、民心の反感を膨らませたのではないか。

◆朴槿惠(バク・グンへ)次期大統領は1987年、大統領直接選出制の再導入後初めて過半数得票、最多得票で当選した。皮肉なことに、歴代大統領の中で最も多い「アンチ勢力」と一緒に、次期政府を発足させることになりそうだ。今の空気からみて、政権発足早々のメディアや野党とのハネムーンも期待できない。引継委が発足したばかりなのに、早くから「密封人事」をめぐる議論が出ている。政府組織の再編はまだ議論すらされていないのに、海洋水産部をどこにおくべきかをめぐり、言葉が食い違う様子を見せている。いざ、次期政府の国政基調や哲学はまだ、霧の中に包まれている。最初のボタンからうまくはめなければならないが…。

チャン・ガンミョン産業部記者 tesomiom@donga.com