ドイツの１２歳の少女、サラは１７７センチだ。病院の検査結果、大人になると、１９０センチまで伸びると予測された。同じ年頃の子より高い身長のためにからかわれるサラは、成長を抑制するため、ひざをドリルで穿って成長板を塞ぐ苦しい手術を受けた。ところが、手術後も背は１８０センチを越えて引き続き高くなっている。米国に住む黒人少女リサは１６歳、身長は１９９センチだ。きめ細かな性格を持つリサは、学校のバスケットボール選手に抜擢された。身体の条件に合う人性を生きるべきか、適性に合う進路を探した方がいいか、選択の岐路に立たされている。
◆今年、ＥＢＳ国際ドキュメンタリー映画祭で上映された「背高の少女たち」は、身長が１８５センチを越える女性の人性を追跡したドキュメンタリーだ。女性のアイデンティティが「高い身長」とのみ特徴づけられる暮らしは簡単でない。背の高い女性は荒っぽくて、強いという固定観念のため、連れ合いに出合うのも容易でない。エレベーターや地下鉄で不思議なもののようにじろじろと見る人々の無礼な視線も気に入らない。そこで、子どもの成長を止めようとホルモン剤を投与し手術も受けさせるが、効果はあまりない。１８６センチのエダ・バウマン・フォン・ブリン監督は自分の娘に背高の女性として生きる道を教えてあげるためにこの映画を作ったと言う。
◆韓国で高い身長は憧れの的だ。背が高くて孤軍奮闘する彼女たちの訴えが「持った者のの余裕」のように聞こえるかも知れない。身長への関心が高まり、背が高くなる薬と関連した偽りの誇張広告が幅を利かす。おととい、公正取引委員会が成長促進剤と関連して、消費者被害注意報を発令した。殆どの成長促進剤は薬効が検証されていない健康補助食品だという。背が高かろうが低かろうが、差別する社会的視線がさらに問題だ。
◆知識経済部技術標準院によると、韓国人男女の平均身長はそれぞれ１７４センチ、１６０．５センチだ。北朝鮮はこれよりずっと低い。同じＤＮＡを譲り受けても後天的な栄養がさらに重要だ。人間の体に標準とか平均サイズは存在しない。背の高い子がほしかったら、無理な療法を使って健康まで損ねず、ぐっすり寝させるのが得策だ。身長は成長ホルモンの影響を受ける。成長ホルモンは寝る時、主に夜の１０時から午前２時の間にたくさん分泌される。よく遊んで、よく食べて、よく寝る子がぐんぐん育つ。
高美錫（コ・ミソク）論説委員 mskoh119@donga.com
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