「誰かが成功すれば必ず失敗する人が生まれる。しかも、成功する人は1人で、失敗する人は数人だ。しかし、幸福はそうではない。誰かが幸せでも、それが他人の不幸を意味するわけではない」。2007年、第17代大統領選の時、「家族が幸せな国」をスローガンに掲げた鄭東泳(チョン・ドンヨン)候補陣営の説明だった。当時、李明博(イ・ミョンバク)候補は、「国民成功時代」をスローガンに掲げた。
◆説明はもっともらしいが、大統領選挙のスローガンとして、「家族が幸せな国」はいくつかの弱点があった。まず、このスローガンの長所を言うなら、相手のメッセージを先に言及すべきだった。太陽の光を照り返す月のように、一人では光を放つことはできないスローガンだったのだ。放送局記者と統一部長官を務めた鄭候補の経歴やイメージが「家族、幸福」という価値とどのように結びつくのかも直観的に響かなかった。07年に国民が抱いていた要求、大げさに言って時代の精神は、「幸福」よりも「成功」に傾いていた。スローガンだけが理由ではないが、鄭候補は第17代大統領選で530万票差で負けた。
◆第15代大統領選で、金大中(キム・デジュン)候補の「準備できた大統領」というスローガンは絶妙だった。大統領選挙の「三浪」という否定的な点をむしろ長所に見せた。通貨危機という前代未聞の国難を経験した国民に安定感を与える効果もあった。第16代大統領選で盧武鉉(ノ・ムヒョン)候補が掲げた「新しい大韓民国」というスローガンは、それ自体あまり魅力のある言葉の組み合わせではない。しかし、盧武鉉という人物が持つ改革的なイメージによく合い、逆に野党候補の李会昌(イ・フェチャン)候補が「既存体制の延長線にある人物」と映った。
◆朴槿恵(パク・グンヘ)前セヌリ党非常対策委員長が8日、大統領選のスローガンを「夢が叶う国」とした。朴前委員長のブランドは、原則と約束というイメージが国民に焼きついているが、「夢」とどのように結びつくのかが鍵だ。孫鶴圭(ソン・ハクキュ)民主統合党(民主党)常任顧問の「夕方のある人生」は想像力を刺激するが、具体性が不十分だ。文在寅(ムン・ジェイン)民主党常任顧問は今月中旬、メインスローガンを出す計画だ。いいキャッチフレーズは、今の時代精神を表現する。鋭い問題意識と未来ビジョンが込められてこそ、国民の心をつかむことができるだろう。
張康明(チャン・ガンミョン)産業部記者 tesomiom@donga.com






