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[オピニオン]バフェット氏の新聞への愛情

[オピニオン]バフェット氏の新聞への愛情

Posted May. 26, 2012 08:16,   

アルビン・トフラーと一緒に、未来学の台頭といわれているジョン・ネイスビッツは、未来を正確に予測した「メガトレンド」の著者である。メガトレンドは、米国だけでも1000万部以上が販売された。世界を回り、講演活動を行っている氏が、最も多く受ける質問は、「どのようにして未来を予測するのですか」だ。何時も用意されている答えは、「未来を覆っているカーテンを取り除く最大の源は新聞だ」という。

◆米ユタ州のモルモン教家庭で生まれたネイスビッツは、ある日、シカゴ市内の店頭に置かれていた新聞の見出しを読んでいたところ、膝を打った。「毎日、これらの地元新聞を全て読むことになれば、現在、この国で起きている出来事を全て知ることができるはずだ!」。米国のことが分かれば、世界のことも把握でき、現在を知れば、未来も予測できると思ったのだ。氏は、直ちにIBMを辞め、その退職金で、「アーバンリサーチ」社を立ち上げた。その会社は、160紙に上る新聞を読んで、見方をまとめた後、報告書を作り、最高経営者(CEO)らに販売した。新聞とは、「現在」を通じて「未来」を読み取るビジネスだった。

◆インターネットなどのニューメディアの拡大や映像媒体に慣れている若者読者層が、新聞から早いテンポで遠のき、「新聞の危機論」が広がっている。米国や日本も同様だが、情報技術(IT)の先端を走る韓国が、とりわけひどい。昨年、国内インターネットニュースの購読率は77.9%と、紙新聞の購読率(67.8%)を追い越している。かつては、「トイレが存在する限り、新聞は永遠に続くだろう」といわれていたが、今は、便座に座っていても、タブレットPCを叩く時代となっている。

◆米フォーブス誌が、世界の億万長者400人を対象に調査した結果、人生での最初の職業は新聞配達員の場合が最も多かった。世界的な投資家、ウォーレン・バフェットも、小さい頃、新聞配達をした。5日、バフェットが経営する会社、バークシャーハサウェイの年次株主総会では、付属行事として、新聞投げつけのイベントが行われた。10代の時、50万部の新聞を配達し、その技を身につけたというバフェットが、ビル・ゲイツ前マイクロソフト会長を抜き、優勝した。氏は最近、新聞は斜陽産業だという言葉を耳にしたものの、63の地元新聞を従えているメディアジェネラルを買収した。「新聞は情報の宝庫」というのが、彼の持論だ。賢明な新聞は、しっかり危機を乗り越え、生き残るだろうという見方が説得力を得ている。時代を先取りする人は、相変わらず新聞を愛している。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com