「国連が妻と娘の生死確認のために北朝鮮に特使を派遣してくれるなら、明日死んでも思い残すことはありません。『統営(トンヨン)の娘』救出運動に国際社会が関心を向けることが、私の最終目標であり、希望です…」
13日(現地時間)、米ワシントン郊外で会った「統営の娘」申淑子(シン・スクチャ)さん(69)の夫、呉吉男(オ・ギルナム)博士(69)は、ひと言ひと言話す度に感情が込み上げるようだった。
呉氏は、妻の申さんと2人の娘、ヘウォンさん(35)とギュウォンさん(33)の救出を訴えるため生まれて初めて米国に渡った。ホテルに着き、1時間程仮眠を取った後、記者と会った呉氏は、先月末のドイツに続く海外訪問の強行軍だったが、疲れている様子は見せなかった。
「海外で関心を持ってくれることだけでも本当に有難いです。疲れている時間はありません。これまで国内で『統営の娘』救出運動が活発に広がり、うれしく思いながらも、胸の片隅では苦しかったです。北朝鮮の政治犯収容所にいる妻と娘を救い出すには、国際レベルで北朝鮮に圧力を加えることが重要です」
呉氏は、「民主主義と人権の国である米国に、70歳になって来ることになりました。あまりにも遅く米国を知り、後悔しています」と苦々しく笑った。「北朝鮮の非人道的犯罪撤廃のための国際連帯」(ICNK)関係者とともに、13日から19日まで米国に滞在する呉氏は、ワシントンとニューヨークを訪れ、「北朝鮮難民と人権に関する国際議員連盟」(IPCNKR)総会での証言、国連本部や米国務省人権担当者との面談、アムネスティ・インターナショナルなどの国際人権団体の訪問を計画している。
これまで国際社会では、申さん母娘の事情について、呉氏夫婦が若い頃に暮らしていたドイツを除いては広く知られていなかった。呉氏は、「国際社会の関心を広げるうえで、米国が出発点になるでしょう。国内で進んでいる『救出統営の娘』100万人ハガキ署名運動の状況と北朝鮮政治犯収容所の実態に関する報告書を国連と米政府に提出する予定です」と発表した。現在まで、オン・オフラインの署名運動に16万人が参加した。
呉氏は、「統営の娘」救出運動を始めて以降、最もうれしかった経験として、「先月、ドイツキリスト教民主同盟の人権委員会の報道を担当しているエーリカ・シュタインバッハ議員から、北朝鮮に行って申氏の生死を調べるという話を聞いた時です」と語った。呉氏は、「脱北者を通じて様々なルートで妻と娘の生死の知らせを聞きますが、何段階も経た話しなので、あまり信頼していません。直接北朝鮮に行って確認するという国際機関や人権団体が出てくることを待っています」と話した。
呉氏は、「北朝鮮への幻想に浸って、家族を連れて北朝鮮に行った人ではないか」という一部の批判に対して、「許されることのない私に何が言えるでしょうか」とうなだれた。そして、「北朝鮮を脱出して再びドイツに戻った時、尹伊桑(ユン・イサン)氏ら北朝鮮寄りの人々から、『北朝鮮が良くて北朝鮮に行ったのに、戻ってきた裏切り者』と厳しい言葉も言われたので、ある程度の批判は耐えられます」と語った。
呉氏は、「北朝鮮は、『統営の娘』救出運動にまだ何の反応も見せていない。北朝鮮が妻を出して、『金正日(キム・ジョンイル)総書記の恩恵でここで元気に暮らしている』という偽りのメッセージでも送ってくれるなら、生死を知ることができる」と話した。呉氏は、「妻と娘に再び会えるなら、何の言葉もいらない。ただ涙を拭ってやるだけです」と付け加えた。
呉氏は、「家族と別れた9000日余りの間、酒を飲まずにいられた日は一日もありませんでしたが、再び会える日に健康な姿で会うために酒を断ちました」と述べ、希望を捨てないという表情で明るく笑った。
mickey@donga.com






