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[オピニオン]戻ってきたヨング

Posted December. 20, 2010 02:59,   

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1980年代後半、誰もがお笑い芸人シム・ヒョンレ氏の「ティリリリリリ〜」をものまねした時代があった。阿呆らしいのヨング(シム・ヒョンレ扮)が部屋のドアを開いて、「ヨング、いないよ」を叫んで再びドアを閉めると、視聴者は大笑いした。ヨングはシム氏がドラマ「旅路(ヨロ)」でタレントのチャン・ウクジェが扮した「ヨング」を再解釈した馬鹿キャラクターだ。「ヨング、いないよ」という台詞は、亡くなったイ・ジュイルさんの「不細工で申し訳ございません」ほど人気を集めた流行語として残った。

◆ヨングが約20年ぶりに映画スクリーンを通じて復活する。シムさんが1950年代のニューヨークを背景にヨングのキャラクターを登場させて作った映画「ザ・ラスト・ゴッドファーザー(The last godfather)」が30日封切られる。伝説的なマフィアのボスが隠していた息子がヨングだったという設定で、「ミスター・ビーン」のようなスラップスティックコメディー(主人公が倒れたり叩かれたりするどたばた喜劇)の真髄を見せることができるのか注目が集まる。「レザボア・ドッグス(掃き溜めの犬たち)」「タクシー・ドライバー」に出演した名俳優、ハーヴェイ・カイテルがボスを演じるなど、華やかな出演キャストだ。今年52歳でヨングを演じたシム氏がどのような演技を見せるか関心が高い。

◆これまで映画制作者シム・ヒョンレに対する評価は厳しかった。忠武路はシムさんが「ヨングとテンチリ」など子ども向けのB級映画を撮る時から「転がってきた石」扱いをした。彼に対する批判は07年、相当な制作費を投入した「ザ・ウォー(The War)」が封切られた時絶頂に達した。「ザ・ウォー」は華麗なコンピューター・グラフィック(CG)に比べてストーリーに締りがないという指摘を受けた。左派が「華麗な休暇」と同じ時点に出た「ザ・ウォー」に対して作品の完成度と愛国主義のマーケティングを問題視して、批判的な世論を作った。しかし、「ザ・ウォー」は国内観客800万人を突破して興行には成功した。

◆自身の言葉のようにコメディーで「叩かれながら」お金を稼いだシム氏は、ハリウッドに輸出する最高の映画を作るという夢を持っていた。1999年には「新知識人1号」に選ばれたが、映画「ヨンガリ」が失敗したら、詐欺師扱いされたりもした。「ザ・ラスト・ゴッドファーザー」の予告編を見ながら、筆者は昔の記憶が思い出されて大笑いしたものだが、ヨングのキャラクターに慣れていない若者層や米国でもこの映画が通じるかは未知数だ。ともかく、シム氏の終わりなき挑戦は高く買いたいものだ。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com