今月23日、北朝鮮軍からの砲撃挑発により、我が軍人や民間人らが死亡したり、怪我をした延坪島(ヨンピョンド)などの西海(ソヘ)5島はすべて、仁川市甕津郡(インチョンシ・オンジングン)に属している。60年前の仁川上陸作戦は、韓国戦争の成り行きを変える決め手となった。住民の中には北から逃れてきた人やその子供らが多い。仁川市民が他のどの地域の住民よりも、北朝鮮からの延坪島挑発に憤りを感じる理由でもある。
◆宋永吉(ソン・ヨンギル)仁川市長は24日、延坪島で北朝鮮軍砲撃によって焦げた焼酎ビンを手にし、「これこそ本物の爆弾酒だぞ」と口にした。宋市長側は、「爆弾が打ち込まれた酒になったと話だだけだ」と主張したが、その後、「爆弾酒という言葉を使ったのは事実だが、沈痛な雰囲気の中で出た言葉だ」と釈明した。宋市長は、「我が軍が強く対応したため、第2次攻撃があり、民間人が集中的な被害を受けた」とも話した。その一つ一つが韓国の公職者の口から出たとは信じがたい暴言である。
◆6.2統一地方選挙で民主党候補として出馬し、当選した宋市長の「酒関連の雑音」は今回が初めてではない。今年5月、平和民主党の白石斗(ベク・ソクドゥ)仁川市長候補は、「04年8月、宋永吉議員などのヨルリンウリ党議員386人のうち5人が、ベトナムの高級クラブで酒を飲んだ後、地元の未成年者に対し売春を行い、ベトナム当局によって摘発された」という、関連者の証言を公開した。宋市長側は、「根拠のないデマにはノーコメントだ」と明らかにし、事実究明はうやむやになった。光州(クァンジュ)民主化運動20周年の前夜祭が開かれた00年5月は、新人議員の当選者である彼を含め、一部の政治家が光州の風俗店の女従業員と酒を飲んだことが明らかになり、波紋が起きた。
◆宋市長は、「爆弾酒発言」の議論を巡り、「稚拙な言いがかりだ」と反ばくした。しかし、時と場合によって話すべき言葉があり、口にしてはならない言葉がある。公人が、それも北朝鮮の挑発で被害を受けた仁川の行政責任者が悲劇の現場で暴言を吐いたことは、どのような理由であれ許されがたい。自分の家族がそのような惨事に見舞われても、果たして「爆弾酒」云々とできただろうか。宋市長は、仁川市民や国民の前に公開謝罪して当然だ。
権純活(クォン・スンファル)論説委員 shkwon@donga.com