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[オピニオン]ブッシュ氏の回顧録

Posted November. 12, 2010 07:51,   

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「移民法改革の失敗に影響を及ぼした米国の孤立主義や保護主義、国粋主義が、議会でコロンビアやパナマ、そして韓国との自由貿易協定(FTA)まで遮っている」。米国のブッシュ前大統領は最近発売した回顧録、「決断の瞬間」の中で、韓米FTAについて、このように触れた。米国は外国との競争で、怒りを見せたり、びくびくする偏狭な国になってはならないと、懸念を示した。「大統領は大衆をリードすべきであり、世論の後をおってはならない」と書いたくだりでは、彼がこれほど強いリーダーシップを持った素晴らしい大統領だったのか、顧みさせられる。辛らつな言葉で有名な米紙「ニューヨークタイムズ」のコラムニスト、モーリーン・ダウドが、「(彼が選挙に出たら)彼に投票するところだった」と話したほどだ。

◆回顧録のPRに乗り出したブッシュ前大統領は、「私を、文字すら読めない無知な人間だと思っていた人々には、私が本を書いたことだけでもショックだろう」と冗談を飛ばしたりもした。実際、彼はイェール大学・経営学修士(MBA)出身のエリートでありながら、「テキサスのカウボーイ」のような大衆的な姿で、大統領選挙の運動を行い、そのため、政権初期は人気も集めた。問題は余りにも庶民的なイメージが定着し、後半は彼に、果たして米大統領としての能力や資質があるのだろうかという疑問が広がったことだ。

◆自叙伝には、「無防備の状態で奇襲攻撃を受けた(blindsided)」という表現が多い。氏は、イラクのアブグレイブ刑務所で、米軍が蛮行を行った写真を見たときも、08年、米国を襲った金融危機に対しても、そのような無責任な表現を使った。そのため、同時多発テロ以降、米国では成功したテロがないことを、彼が大統領として行った最も意義深いこととして取り上げても、人々がそれを素直に認めるはずがない。特に、政治的な反対者はなぜ、大統領が最初から同時多発テロを防ぐことができなかったのか、激しく批判している。

◆それでも、30%台の支持率で大統領職を離れた彼の人気が、先月は49%と、バラク・オバマ大統領とほぼ同様であることが分かった。ポストを離れた元大統領に対し、甘く評価したためか、それともオバマ大統領に対する失望の表われなのか気になる。引き続き棚上げされている韓米FTAが、米国で議会承認なしでも可能だったブッシュ前大統領の在任中に締結されればよかったのに。

金順鄹(キム・スンドク)論説委員 yuri@donga.com