実に960回の挑戦の末、運転免許証を取得し、無料で乗用車まで手にしたチャ・サスン(69=全羅北道完州郡)さんは、「本当に幸せだ」とし、車で息子や娘の家に遊びに行きたいと話した。チャさんは、筆記試験だけでも949回落ちたが、根気よく挑戦した末、今年5月に免許証を手にした。キャンペーンのブログに毎日100件以上の書き込みがあり、自動車のプレゼントを約束した自動車メーカーから乗用車ももらった。ネットユーザーらは、「挑戦が何かを、身をもって示したおばあさんだ」、「途中で諦めた自分を顧みるきっかけとなった」という書き込みで、応援した。高齢者の挑戦は、人々の胸を熱くさせた。目前に迫っている超高齢化社会の解決策を目にしているような気がする。
◆医学の発達や生活環境の改善により、かつての青少年に劣らぬほどの体力を誇る高齢者が多い。人生100歳時代が目前に迫り、早死にすることも難しい世の中になったのだろうか。60〜70代の高齢者でも、今後さらに生きていかなければならない期間が30〜40年ある。これまで生きてきた期間の半分を、さらに生きなければならず、高齢者だからといって、挑戦を諦めるわけにはいかない。マラソンを完走し、演劇や映画に出演する高齢者は変わり者ではない。
◆でも、インターネットや携帯電話のような情報技術(IT)分野は、高齢者には覚えづらい。新技術が登場するスピードが速すぎ、追いつくことが大変だ。何とか携帯電話のメールの使い方を覚えたら、若者らはすでにツイッターやスマートフォンへと走り去り、疎外感を感じる人々が大勢いる。しかし、高齢者とはいえ、21世紀の原始人のように生きるべきではない。諦めず挑戦し、ITデバイド(格差)を克服するため、努力に努力を重ねるべきだ。
◆韓国インターネット振興院の調査によると、この1ヵ月間で1度以上ネットを利用した60歳以上の人口は146万人(09年基準)と、1年前に比べ13万人も増えた。60歳以上の人口のうち占める割合も、初めて20%を上回っている。インターネットや携帯電話を自由に利用できるシルバーネットユーザーが次第に増えつつある。しかし、米国や英国のような国に比べれば依然、シルバーネットユーザーへの配慮は足りない。高齢者が利用しやすいように、ITインフラを構築し、高齢者に優しい商品化に努力すれば、IT生活から疎外される高齢者も減り、雇用の扉もさらに開かれることになるだろう。
朴永均(バク・ヨンギュン)論説委員 parkyk@donga.com






