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[オピニオン]米傷痍軍人の安保意識

Posted May. 06, 2010 07:50,   

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欧州では、年寄りたちは「町の番人」と呼ばれる。一日中、窓を通して外を眺め、少しでも変なことが見つかれば、直ちに通報するからだ。かつて、わが国でもタバコの値段が分からなかったり、服装や言葉遣いは不審な人を通報することは、一種の義務のように受け止められてきた。実際、通報件数も多かったし、そのおかげでたまにはスパイを逮捕したこともある。「寝ていても醒めていても火の用心」以上に、反共やスパイ警戒が口癖となり、それだけ国民の安保意識もしっかりしていた。

◆1996年、江陵(カンルン)海岸に現れた北朝鮮の潜水艇の通報者は、タクシー運転手だった。1998年、束草(ソクチョ)周辺の海上で、魚網に引っかかった北朝鮮の潜水艇を通報した人は、ほかならぬさんま漁船の船長だった。このため、「我が海はタクシー運転手と漁師が守る」というジョークまで、しばらく出回った。1996年の潜水艇が侵入したときは、北朝鮮工作員26人中1人は生きた状態でつかまり、残りは工作員同士が殺しあったり、韓国軍や警察との交戦の末、射殺された。1998年の潜水艇では、自爆した北朝鮮スパイ9人が、遺体で見つかった。

◆今月1日、米ニューヨークの中心街での車両爆弾テロを食い止めたのは、市民だった。露天商を営んでいた2人は、ドライバー無しでエンジンがかかったまま、非常ランプが点滅する車を目にし、不審に思って通報した。警察は追跡の末、問題の中古車を購入した人の身元を把握し、容疑者を逮捕した。車には爆発物が積まれており、早めに除去しなければ大災害に見舞われるところだった。ベトナム戦争で負傷した傷痍軍人出身の2人の通報者は、「我々は自由がただでないことを知っていたため、何時も周辺に注意を払っている」と話した。

◆国家情報院は昨年6月、護国報勳の月を迎え、市民の安保意識を高めるためのキャンペーンを実施した。国民の安保意識が以前とは違うという判断からだった。08年に逮捕された北朝鮮の女子スパイのウォン・ジョンファと交際した韓国軍将校や副士官が7人にのぼり、ひどい場合は、彼女が北朝鮮スパイであることを知っていた将校までいたにもかかわらず通報者がいなかったのだから、一般人は言うまでもない。天安(チョンアン)艦沈没事故を受けて、国家安保の重要性がいつになく浮き彫りになっている。共同体の安全を守ることに、役割など関係ない。我々皆が「大韓民国の守護者」となるべきだ。

李進寧(イ・ジンニョン)論説委員 jinnyong@donga.com