1997年、韓宝(ハンボ)鉄鋼や三美(サンミ)、真露(チンロ)の不渡りに続き、資金難に陥った起亜(キア)自動車を巡る事態が長期化すると、対外信用度が揺らいだ。ムーディーズは、起亜事態が発生すると、韓国を「要注意リスト」に盛り込ませ、スタンダードアンドプアーズ(S&P)は、国の格付けを、「安定的」から「否定的」に引き下げた。起亜車の法廷管理が申請された同年10月、S&Pは、国の格付けをAA−からA+に下げた後、さらにA—に1ランクを引き下げた。韓国の格付けが下がると、外国資本が待っていたかのように流れ出た。通貨危機の始まりだった。
◆ムーディーズやS&Pなど、米信用格付け会社の力は、国の運命を牛耳るほど強力なものだった。ムーディーズは1997年末、1ヵ月足らずで実に7段階も韓国の格付けを引き下げた。国際通貨基金(IMF)からの救済金融により危機から脱した後も、格付けはなかなか回復しなかった。その翌年、ムーディーズの調査団は数度に渡って、韓国を訪れた。彼らは訪問するたびに政府や財界高官と会ったが、、格付けの調整にはなかなか踏み切らなかった。通貨危機前の格付けまで回復できたのは、なんと13年後の今年4月のことだった。
◆通貨危機の際、一部では、格付けの引き下げに米ウォール街の影響力が働いたという主張が持ち上がったが、確認するのは難しい事案だった。主に欧州系金融機関のほうからそのような見方が出た。最近米上院からも、信用格付け会社に対して評価を行うべきだという叱責が殺到した。米上院のカール・レビン調査委員長は、「信用格付け会社各社は高い手数料を受け取る代わりに、ウォール街が格付けの算定に影響を及ぼすのには、目を瞑っている」と批判した。結局、このようなモラルハザードが、米金融危機を招くのに一役買ったという。ノーベル経済学賞受賞者であるポール・クルーグマン教授は、金融危機は腐敗したシステムの結果であり、信用格付け会社各社はその腐敗の主要部分を占めていると主張した。
◆信用格付け会社各社が、ギリシャやポルトガルに続き、経済規模では欧州4位のスペインの格付けまで引き下げると、欧州連合・執行委員会や欧州中央銀行が直ちに反発している。欧州の独自的格付け会社を立ち上げるべきだという話も持ち上がった。ストロス・カーンIMF総裁も、信用格付け会社各社の信頼度に疑問を示した。米国とEUは、信用格付け会社を規制する法案をまとめている。信用格付け会社各社による格付け評価をどこまで信頼できるか判断するのは難しいが、窮地に追い込まれている国々には、死神のように脅威的な存在であることは間違いない。
朴永均(バク・ヨンギュン)論説委員 parkyk@donga.com