職場で順調に昇進の道を歩んできた朴サンギルは、期待されていた社長昇進を控え、非常任顧問に左遷されてしまう。ちやほやされ育てられてきた3人娘は、いずれも親の頭を抱えさせている。18日、京畿道高陽市(キョンギド・コヤンシ)のMBCドリームセンターで会った彼は、「『芝居もそろそろ潮時』と思ったけど、『お父さんの世界』という課題が残っていた。時代劇のように、華やかな衣装を着ずに済むから楽けど、演技の役にリアリティが求められるため、実生活でも、朴サンギルのように地味で素朴な暮らし方を心がけている」と話した。
俳優一本やりの人生を送ってきた彼が、サラリーマンの経験する苦労に共感できるだろうか。「ウォルマートで働くやり手の友達がいました。ところが、ウォルマートが新世界(シンシェゲ)と合併され、彼は物事がうまくいかなくなったのです。私も友達の試練に共感したため、この役柄にある程度理解することができます。俳優も役が与えられなければ、失業者も同然なのではないですか。この先、自分が経験することを、作品を通じ勉強しています。」
ドラマの中で、朴サンギルの妻である金スクキョン役を演じるヤン・ミギョンさんは、夫の昇進のため、節句のたびに上司の家に丁寧に作った餃子を届け、内助の功を尽くす。「(実の妻である)チョン・インファだって夫が職場で役員だったならば、スッキョンのように夫を支えたでしょう。今は、同じ俳優として、重要な場面でお互い台詞あわせをしたり、作品で失敗した際には、傍でマネジャーのように八つ当たりを受け入れています」。今回の作品を見た妻から「家長のまじめな生き方が素敵だと思う」と言われたという。
「タンポポ家族」を書いた金貞秀(キム・ジョンス)作家は、「田園日記」「あなた、そして私」「幸せです」など、家族の痛みを癒す暖かいドラマを多く書いた。書く作品ごとに人気を集めたが、今回のドラマの視聴率は5〜6%台と振るわない。同じ時間帯のライバル番組であるKBS(韓国放送公社)の「怪しい3人兄弟」は、30%台後半の視聴率を記録している。ユ・ドングンが出演した大部分のドラマもヒットしており、一ケタ台の視聴率にとどまったのは異例だ。
「視聴率が高ければ、作る人たちがもっと気合を入れて働けるでしょう。しかし、視聴率が低くても俳優と視聴者が心を癒される作品の中の空間があります。映画も1000万の観客映画がある反面、200万の観客でもよい映画だと認められる映画があります。そうしているうちに、口コミで300万、500万になるのです。先方(怪しい三兄弟)は祝えばいいし、私たちはこの作品で各自の役柄で充実すればいいです」
最近、10代〜20代初めのアイドル出身の俳優らがドラマに頻繁に出演し、演技力の問題が取りざたされていることについて、「歌手であろうが、コメディアンであろうが、演技は誰にでもできる。しかし、彼らもみんなが俳優という呼称を持つことはできない。演技は集中した訓練の中で生まれ変わらなければならないものだ。今、彼らの演技は励ますことはできるが、俳優という呼称は与えられない」と話した。
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