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チュニジアの唯一の森、韓国の緑化経験で再生図る

チュニジアの唯一の森、韓国の緑化経験で再生図る

Posted January. 04, 2010 08:22,   

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チュニジア・林業水産資源研究院(INRGREF)のアブデルハミッド・カルディ博士は、「チュニジアのクヌギ森は、1930年代の14万ヘクタール(1400平方キロメートル)から現在は7万ヘクタールに、その規模が半減した」とし、「気候変動などさまざまな要因があるけど、最大の理由は住民が飼う家畜がクヌギの苗木を食べてしまうためだ」と話した。家畜の放牧が森の未来を蝕む危険要因となっている。

チュニジアを離れ、車で約2時間を走って到着したアインスノ市。まばらな村が消えるごろに現れたクヌギの森は、巨大な海のようだった。しかし、その中は深い病気にかかっている。川の周辺には、土壌浸食のためか、根っこの半分が宙ぶらりんの状態で、いまにも川に落ちそうなクヌギ数十株が目に留まった。村の入り口の樹齢200年の巨大なクヌギも、幹の3分の2がなくなった上、虫で覆われており、枯死寸前の状態だ。

このクヌギの森は、チュニジア全土の6%を占める唯一の山林地帯。小麦産地の中部地域は、ローマ時代の穀倉地帯として有名だが、映画「スターウォーズ」と「イングリッシュ・ペイシェント」のロケ地だった南部は砂漠地域だ。北西部地域のクヌギは、ワインの栓に使われるコルクの材料。クヌギの森がなくなれば、チュニジア唯一の山林地帯が消失されるだけでなく、主要輸出商品もなくなることになる。

この地域の自治体首長であるフシン・オートマニ氏は、「地元の諺に『森は人々の保護者』という言葉があるほど、木々を神聖化する」とし、「しかし、家畜を飼って売った金が収入の50%以上を占める住民としては、生き残りのためには森の毀損はやむを得ないことだ」と語った。

韓国国際協力団(KOICA)が進めているチュニジアのクヌギ森の衰退原因を分析する事業も、このような背景から始まった。2011年を目標に、山林開発国家戦略を樹立したチュニジア政府は、森林衰退の原因分析や修復のための研究事業に協力してほしいと、韓国側に要請してきた。韓国は、世界食料機関(FAO)が認めた代表的な森林緑化成功の国であり、短期間で毀損された森林の修復に成功した技術や経験を持っているためだ。

KOICAは07年から250万ドルを投入し、INRGREFと共に総合的な森林衰退原因の分析作業に取り掛かっている。研究対象地域は、500世帯(2600人)余りが居住しているアインスノ地域の森3000ヘクタール。茸などのさまざまな作物の試験栽培により、住民たちにほかの所得源を獲得させ、クヌギの森を保全する案を探っている。

シニアボランティア団員として韓国作物を試験栽培しているカン・スンギュ氏(60)は、「住民たちが白菜やカボチャなどを栽培・販売することになれば、牧畜中心のライフスタイルも変わるだろう」と話した。

「韓国型農家」の実験世帯に指定され、今年からサンチュやトウモロコシなどを栽培する予定のムハマド・アブダジズ氏(52)は、「農業やほかの仕事でお金を稼ぐことができれば、住民らが森を傷めるはずがない。ほかの選択肢があれば、森の保全の役立つだろう」と話した。オトマニ氏は、「7、8月にはコルクの皮をはがす作業に動員され、日当を受け取り、残りの期間は牧畜業を営む住民は、森が消えれば生活の場も消えるという危機感を持っている。ほかに所得増大事業が行われれば、森林衰退を食い止めることができるだろう」と強調した。

クヌギ森の衰退原因を分析する事業は、ほかの国で実施するKOICAによる無償支援事業とは異なる独特な事業だ。直接的な恩恵者がはっきりしておらず、事業結果も研究報告書としてまとまることになる。KOICAチュニジア事務所のソ・ミヨン所長は、「KOICAの内部でも、『なぜ、研究事業にKOICAの資金を支援しなければならないのか』という疑問の声が多かった」とし、「しかし、研究結果が出れば、地元住民らに対して森林保全に向けた代案を示し、これをもとにKOICAによる後続支援事業を行うことができる」と話した。

今回の研究に参加したソウル私立大学のウ・スヨン教授は、「地理情報システム(GIS)を活用した作業などにより、住民らが森に作った道が山林衰退に90%の影響を及ぼすことが、初めて科学的に裏付けられた」とし、「研究事業は、地元住民の自生力を育成する先進国型援助事業であり、韓国の対外援助のレベルを一段と発展させる意味がある」と語った。

カルディ博士は、「過去にもフランスやスペインなど周辺諸国からの支援を受けてクヌギ森の衰退原因を研究したが、アリラン衛星まで動員して立体的な分析を行ったのはKOICAが初めでだ」とし、「クヌギ森の修復に向けた第一歩となるだろう」と話した。

今回のKOICA事業の結果は、8月23日から1週間、ソウルで開催される第23回世界林業研究機関(IUFRO)総会で、研究報告書として発表される。世界の山林・林業学者や専門家らが5年に1度集まる総会で発表されるKOICAの研究結果については、ワイン向けコルクを生産するスペインやポルトガル、イタリアなどの地中海沿岸の6ヵ国も大きな関心を持っている。