泰光(テグァン)実業の前会長である朴淵次(バク・ヨンチャ)被告が、政界や官界に関係者らに対してロビー資金をばら撒き、税金逃れを行った容疑で、1審で懲役3年6ヶ月の実刑と300億ウォンの罰金が言い渡された。朴被告が、鄭大根(チョン・デグン)元農協会長や鄭相文(チョン・サンムン)元大統領府・総務秘書官など19人に対して70億ウォン以上の賄賂を提供した容疑をめぐり、裁判部はすべて有罪と認めた。
朴被告は追跡から逃れるために、賄賂はすべて現金や100ドルの紙幣、あるいは商品券などで渡した。このため、検察は小切手追跡のような方法を通じて、動かしがたい証拠を確保するのに苦労した。しかし、裁判部は、朴被告と関連者の一貫した供述やメモを残した日記帳、電話の内訳などに信頼性があると判断した。贈賄罪は通常、収賄罪より軽く処罰されるが、朴被告は賄賂の見返りとして大きなものを受け取っており、実刑を避けることはできなかった。
検察は、朴被告が盧武鉉(ノ・ムヒョン)前大統領やその家族に対して賄賂を提供した容疑については、起訴しなかった。盧前大統領の家族は朴被告から640万ドルを受け取った容疑がかけられていた。また、朴被告は、盧前大統領夫妻に1億ウォン相当のピアジェの時計、2つをプレゼントした。朴被告が、ほかの政界・官界の関係者らに対してのみ、事実に基づく供述を行い、盧前大統領の家族に対してはうそをついたとは考えられないだろう。盧前大統領の自殺を受け、法廷で真実を究明する機会はなくなったものの、収賄容疑で起訴されたなら、今回の判決の趣旨に照らしてみれば、有罪判決が言い渡されただろう。
一部の扇動的なメディアは、多くの新聞や放送が盧前大統領の容疑を中継でもするかのように報道し、彼を無念な死に駆り立てたと主張した。今回の判決から見ても、盧前大統領はありもしない罪に問われたのではない。前大統領の不正容疑は、国民的な関心事であり、メディアが速やかで正確な報道のため、努力するのは当然である。
盧前大統領と台湾の陳水扁前総統は、貧しい家庭から生まれて弁護士となり、大統領を退任してからは検察による捜査を受けるなど、似たような点が多い。陳前総統は在任中の収賄罪や国家機密費の横領罪などをめぐり、今月11日、台北地方裁判所で無期懲役刑が言い渡された。同氏は法廷で、「妻が直接賄賂を受け取り、管理したため、私は知らない」と供述したが、重刑を避けることはできなかった。国政の最高責任者は退任後、いかなる形の検証を受けても、やましいことがないように、自分や身内を取り締まらなければならない。これは韓国や台湾の2つの事件が残した教訓でもある。
5万ウォン札の現金が登場し、賄賂の授受がさらに容易になったと懸念する見方もあるが、今回の判決は、高額の現金も、賄賂罪の法律の目を避けることができないことを物語っている。